ものづくり、表と裏の競争力とは

1.ものづくりとは

 「ものづくり」とは何か、いろいろな定義が示されていると思われます。筆者は、「もの」と「つくり」を分けて考えることを提唱しています。なぜなら、ものづくりとは本来、消費者がワクワクするようなものを考えることと、それを製造することの2つの面があるからです。

 一般的には、「もの」を製品)と捉えているようです。「ものがたり」「もの思いにふける」といった言葉があるように、形あるものだけでなく、思いや考え方、アイデアも指しています。いっぽう、「つくり」は、その思いやアイデアを具現化するときのプロセスになります。製造業の「生産活動」に当たります。

 

2.イノベーションとは

 では、「イノベーションとは何でしょう。三省堂の大辞林では、①技術革新、新機軸。②経済学者シュンペータの用語で、経済上の革新。経済成長の原動力となる生産技術の革新、資源の開発、消費財の導入、特定産業の構造の再組織などきわめて広義な概念を示すとされています。

 経済学者のシュンペーター(Schumpeter)は、広い意味での革新を意味するとして、次のように定義しています。

 

3.ものづくり=プロダクトイノベーション×プロセスイノベーション×市場・顧客とのマッチング

 ものづくりとイノベーションの定義から、図1をイメージすることができます。つまり、ものづくり≒イノベーションといってもよいのではないでしょうか。持続的な競争力を保つために、プロダクトイノベーション、プロセスイノベーションおよび市場・顧客とのマッチングを考え、高付加価値化・差別化を図っていくことになります。

 ある電気メーカーでは、プロダクトイノベーションのことを表の競争力、プロセスイノベーションのことを裏の競争力...

と言い換えています。生産者がどういうこだわりでつくるかではなく、「お客様がワクワクするようなものがつくれるか」「現地のお客様の機能や価格等のニーズに合ったものがつくれるか」が重要になるわけです。例えば、機能や技術で差別化が図りにくい商品は、デザインで勝負が決まる時代でもあります。

 

図1 ものづくりとイノベーションの意味

◆関連解説『技術マネジメントとは』

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