ものづくりに関する難関国家資格「技術士」。
この記事では、今から技術士試験にチャレンジしようとする方のために、最初のステップである一次試験の受験部門の選び方について解説します。
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1. 技術士第一次試験とは?
技術士とは「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」を認定する国家資格で、多くの技術分野において最難関の資格に位置付けられています。この技術士資格を取得するための第一関門となるのが、これから説明する技術士第一次試験(以下「一次試験」)です。
一次試験は、科学技術に関する大学エンジニアリング課程(工学、農学、理学等)修了程度の基礎知識を確認することを目的とし、基礎科目・専門科目・適性科目の3科目についてマークシートによる多肢選択式で行われます。このうち専門科目は、技術士の部門のうち総合技術監理部門を除く20の部門のいずれかを受験申込み時に選択し、それぞれ35問の出題のうち25問を選択して解答します。
なお年齢・学歴・業務経歴などによる受験制限は特になく、誰でも受験することができます。
この一次試験に合格(もしくは「指定された教育課程」(JABEE課程)を修了)し、かつ定められた業務経歴を満たすことで技術士第二次試験(以下「二次試験」)の受験資格が得られます。二次試験については他の記事(【特集】技術士第二次試験対策)で詳しく解説されています。
2. 一次試験と二次試験の部門は違ってもよい!
ここで重要なのは、「一次試験の合格部門に関わらず、二次試験はどの部門でも受験できる」ということです。つまり、これから一次試験を受験する場合には、その後の二次試験受験時の条件となる業務経歴がどの部門に該当するかに関わらず、一次試験は「自分が点数を取りやすい部門」を選んで受ければいいということになります。
これは一次試験の目的が「大学エンジニアリング課程修了程度の基礎知識の確認」であることから理解できます。大学などでの専攻分野と就職後の業務分野が異なる人は多いですし、在学中に一次試験を受験する人もいます。これらの場合にも支障なく二次試験に進むことができるよう制度設計されていると考えられます。
「一次試験と違う部門で二次試験を受けると、口頭試験で突っ込まれて不利になる」といったことを言う人もいますが、私自身が口頭試験を4回(うち3回は部門または総合技術監理部門の選択科目が一次試験の合格部門と異なる)受験して、一次試験の部門について質問されたことは一度もありませんし、他の人が実際に質問されたという話も聞いたことがありません。そのような心配は無用だと思います。
なお二次試験受験のための業務経歴として「技術士補登録後4年」を選択する場合には、指導技術士となる人の技術士登録と同部門の一次試験に合格する必要がありますが、この場合にも二次試験はどの部門でも受験することができます。
3. 一次試験はどの部門を選べばいい?
それでは実際にどのようにして一次試験の受験部門を選べばいいのでしょうか?
多くの受験者にとっては、大学などでの専攻分野もしくは業務の技術分野が第一の選択肢になります。例えば大学で化学工学を専攻したから化学部門、金属材料の仕事をしているから金属部門という感じです。該当部門の過去問を見てすんなり取組めそうなら、迷わずそれを選択すればいいと思います。
専攻や業務の分野が複数の部門にまたがっている場合もあります。例えばメカトロ機器に関わる業務だと、機械部門・電気電子部門・情報工学部門などと関係があります。過去問を比較し、解答しやすく(もしくは勉強しやすく)感じる部門を選びましょう。
また、専攻や業務に関係がありそうな部門の過去問はどれもピンとこないという方もいるかと思います。その場合は広く各部門の過去問を見て、少しでもなじみのある部門を選べばいいでしょう。
いずれの場合でも、まずは過去問を当たってみることが重要です。過去問は日本技術士会のWEBサイトに掲載されていますので、受験申込みの前にぜひ確認することをお勧めします。
なお、中小企業診断士の資格保有者は経営工学部門の、情報処理技術者試験の高度試験及び情報処理安全確保支援士合格者は情報工学部門の、それぞれ一次試験専門科目が免除になります。該当する方はこれらの部門を選択するのが近道です。
4. 経営工学部門のススメ
さて私の場合ですが、一次試験は経営工学部門、二次試験は機械部門で技術士資格を取得しました。
経営工学部門は一見他の部門とは畑違いのようですが、実際に内容を見ると、ものづくりに関わるどの業務分野でも日常目にすることがらや、知っておいて損はないことがらなど、いわばものづくりの一般教養が多く含まれています。既に長くものづくりの業務に携わっている方は、過去問を見ても取っ付きやすく感じるのではないかと思います。
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