今回は、インタビュー調査時のアイスブレイクに役立つラポール形成について解説します。
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ラポール形成の元は、心理学でカウンセラーとクライアントの間で築かれた心が開かれた状態をいいます。そのため、コミュニケーションを行うための方法として活用されています。
新商品開発を行う時にインタビュー調査を行うことも多いですが、初めて会うお客様とコミュニケーションを取るのは難しいものです。
私の経験ではインタビュー開始前に沈黙の時間が続いてしまい、インタビューを開始してからも司会者と参加者と一対一の会議のような会話が続き、なかなか参加者同士のワイガヤになれなかったことを思い出します。
自己紹介は一対一で進みますが、自己紹介後の製品の使用状況を伺うときに、いかに参加者同士の会話にしていくかが鍵です。ある人の会話に対して、他の方はどうですか?と瞬時の対応が必要です。
1.ラポール形成の原則
原則1:肯定と尊重
相手を心から尊敬し肯定することが重要です。インタビューの冒頭にて本音を語って欲しいという意向を伝えます。
原則2:行動の類似性と同調
自分と価値観が似ている人を無意識に信頼する傾向があります。相手との会話の中で、似た属性を見つけ「自分はあなたと同類である」となればラポールが形成しやすくなります。自己紹介で住んでいるところが同じだけで話が弾みます。インタビューの開始前に今日の天気や気温などの雑談をしておきます。
原則3:ページングとリーディング
重要度や評価基準は相手のペースに合わせます。リーディングは会話をリードします。相手の話し方にあわせて質問します。
2.ラポールを築くための5つのテクニック
(1)キャブレーション
相手の発言だけでなく表情や顔色、声のトーンなどの視覚や聴覚情報を観察して、相手の心理状態を探ります。少し前向きでなるべく目を見て話します。
(2)ミラーリング
鏡のように相手の行動を真似ることです。話している人と同じ行動をします。
(3)マッチング
相手の話しているペースや声の大きさに合わせて話します。
(4)ページング
コミュニケーションを取るために相手の声のトーンや大きさなどの聴覚情報を合わせます。
(5)バックトラッキング
オウム返しといい、相...
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慣れない時はある程度テクニックを意識して、コミュニケーションを取ると相手も自然に話してくれます。何度も繰り返しインタビューを行うと、自然にラポールが形成され、無意識にできるようになります。
インタビューの場では、参加者が「何を言っても大丈夫」という安心感が生まれれば活発な発言や本音が得られるでしょう。