ビジネスの現場で時系列データを使った、よく目にする幾つかの活用事例があります。次の7つです。
・基本となる3活用事例
- モニタリング指標の将来予測
- モニタリング指標の異常検知とその要因探索
- モニタリング指標の先行指標探索とその活用
・セールスアナリティクスの3活用事例
- リードの選別(受注確率や金額、LTVの予測など)
- チャーンレートの改善(既存顧客の離反予測など)
- 出世魚マネジメント(LTV予測やお勧め商材レコメンドなど)
・広告・販促の効果測定と最適化(MMM:マーケティングミックスモデル)
今回は「ビジネス時系列データでよくある7つの活用事例」についてお話しします。
【この連載の前回:ビジネス現場は時系列データで溢れている データ分析講座(その303)へのリンク】
1. 基本となる3活用事例
「モニタリング指標」とは、売上金額や受注件数、コンバージョン数などのビジネス上「着目している指標」です。「目的変数」などと言われることもあります。この「モニタリング指標」に対し、例えば次の3つの活用事例をよく目にします。
- モニタリング指標の将来予測
- モニタリング指標の異常検知とその要因探索
- モニタリング指標の先行指標探索とその活用
2. モニタリング指標の将来予測
1つ目の「モニタリング指標の将来予測」とは、需要予測や受注予測、故障予測など「〇〇予測」と言ったものです。この「将来予測」をするために、予測モデルを構築し活用します。予測対象期間は、遠い未来(5年後や10年後、100年後など)ではなく近い未来(数日後、数週間後、数カ月後、1年後など)のケースが多いです。
3. モニタリング指標の異常検知とその要因探索
2つ目の「モニタリング指標の異常検知とその要因探索」は「異常検知」と「要因探索」の2つのアナリティクスに分かれます。順番があります。先ずモニタリング指標の「異常検知」を実施し、異常が検知されたらその要因を探るために「要因探索」を実施します。
時系列データの「要因探索」では、異常を示したモニタリング指標と連動している、変数を探索し、異常の要因を探っていきます。このモニタリング指標と連動している変数には、モニタリング指標と一緒に連動している「一致系列」モニタリング指標より遅れて動く「遅行系列」そしてモニタリング指標より先に動く「先行系列」の3種類があります。モニタリング指標の変化の要因候補として考えられるのは、一致系列と先行系列です。
今「異常検知」と「要因探索」という2つのアナリティクスの説明をしましたが、必ずこの2つのアナリティクスを実施しなければならない、というわけではありません。例えば「異常検知」はデータを使い実施するが「要因探索」はデータを使わずに実施する、ということが多々あります。データを使わずに「要因探索」を実施する場合、ブレーンストーミングやロジカルシンキング、インタビューなどの定性的なアプローチで要因を探っていきます。
4. モニタリング指標の先行指標探索とその活用
3つ目の「モニタリング指標の先行指標探索とその活用」では、今説明した「要因探索」と同じやり方で、先行系列を探索していきます。先行系列が分かれば、それは「モニタリング指標」の変化の予兆を知るのに利用できるため、その先行系列を「先行指標」という名の新たなモニタリング指標とするケースがあります。さらに、この先行系列を予測モデルに組み込むことで「モニタリング指標」の将来予測の精度を高めることもできます。
5. セールスアナリティクスの3活用事例
個々の顧客の動きをデータで捉えられるビジネス(例:法人相手のビジネスや、顧客と売上が紐づいたID付きPOSデータ...