MROとは、企業の業務に用いる副資材そのもの、およびそれらの物品調達の効率的な管理を行うシステムのことです。ものづくりには、製品の製造に直接使用する原材料や中間品など原資材の他に、工具、補修部品、燃料、事務用品などの副資材が欠かせません。これら副資材の効率的な調達管理は、業績の維持向上や「働き方改革」実現のためにも重要な課題です。
MROの概要やMROシステムの効果、その現状と今後などについて解説します。
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MROとは何か?
MROとは、企業の業務に用いる消耗品・備品そのもの、およびそれらの物品調達の効率的な管理を行うシステムのことで、「Maintenance Repair and Operations」(または「Maintenance Repair Organization」)の頭文字を取ったものです。もともとは製造業におけるメンテナンス(保守)、リペア(修理)、オペレーション(稼働)に必要な副資材を指す言葉でしたが、現在では非製造業も含めたさまざまな業界を対象とする概念になっています。
なお航空業界においては、これとは異なる意味で「MRO」という言葉が使われます。「Maintenance(整備)、Repair(修理)、Overhaul(オーバーホール)」の頭文字を取ったもので、これら航空機の整備や修理に関わる業務を航空会社などから受託して行う企業のことをMRO事業者といいます。この記事で解説している「MRO」とは「Maintenance」「Repair」まで共通していますが、全く異なる概念です。
副資材と原資材の違い
企業が日常業務のために調達する物品は「原資材(直接材)」と「副資材(間接材)」の2つに分類されます。原資材とは製品の製造に直接使用する原材料や中間品、備品・消耗品などを指します。副資材とは製品の製造に直接は関係ないものを指し、工具、補修部品、燃料、事務用品などが該当します。
MROシステム活用の効果
副資材は原資材とは異なり、種類が多岐にわたるうえに各部署でそれぞれ必要なものを随時調達しなければなりません。そのため部署間での在庫共有や仕入先の統合、発注工数の削減など、調達の効率化が課題となっていました。
インターネットの普及を受けてBtoBの電子商取引が広く行われるようになると、これら副資材の調達を支援するサービスを提供する事業者が現れ、現在では非製造業でも、またインターネットを介した調達業務効率化を指すものとして「MRO」という言葉が使われるようになっています。
現在日本では、文具メーカーや通信販売会社、商社などが、工具・補修部品や事務用品・消耗品、オフィス家具、OA機器、サプライ用品などの商品を販売し、またそれらの発注や在庫を一括して効率的に管理できるMROシステムを提供しており、これらを活用することで調達の効率化、低コストでの購入、在庫最適化を実現できます。
MROの市場規模・シェア
MROの市場規模に関する公的資料はありませんが、MRO関連業界の大手企業のひとつである株式会社モノタロウの2021年12月公表の決算資料では、MROの市場規模は5兆円~10兆円であるとしています。
MROの主要企業とシェア
MRO関連業界の主要企業としては、以下の各社が挙げられます。
株式会社山善
工具商を祖業とする商社で、対面販売とネット通販を展開。
売上高約5018億円(22年3月)
アスクル株式会社
もとは事務機器メ...