データ活用の浸透とともに、ダッシュボードを利用する人や組織、企業などが増えてきました。ダッシュボードには、指標の推移やそれを集計した結果、それらを見やすくしたグラフ、検視した異常のアラート、今後の予測など多くの情報が表示されます。無理に1つのダッシュボードに多くの情報を詰め込むのではなく、ビジネス目標に応じて複数のダッシュボードを作成する方が適切です。ビジネス目標を達成するために、様々な種類のダッシュボードを作成し活用するのがいいでしょう。今回は「一般的なダッシュボード3種類」というお話しをします。
【記事要約】
ダッシュボードには、指標の推移やそれを集計した結果、それらを見やすくしたグラフ、検視した異常のアラート、今後の予測など多くの情報が表示されます。無理に1つのダッシュボードに多くの情報を詰め込むのではなく、ビジネス目標に応じて複数のダッシュボードを作成する方が適切です。ビジネス目標を達成するために、様々な種類のダッシュボードを作成し活用するのがいいでしょう。一般的には、戦略・運用・分析の3種類があります。
1. 戦略ダッシュボード
戦略ダッシュボードのユーザは、上位のマネジメント層です。マネジメント層が、戦略的意思決定を行うのに役立つよう設計する必要があります。多くの場合、1年や半期、四半期など、比較的粒度の粗い(期間の長い)KGIや KPI を要約した集計結果や、それらをグラフで表現したもの(多くの場合、折れ線グラフ)で表現されます。
そのダッシュボードを利用し、マネジメントしている組織全体の目標に対するパフォーマンスをモニタリングし、将来を見据え、ヒト・モノ・カネなどの投資配分を変えたり、動き方を変えたり、より戦略的な意思決定に役立てようとするものです。
そこでポイントになるのが、何をどのように集計しグラフ化するのか、ということです。マネジメント層のディスカッションを刺激し、より良い意思決定を促すダッシュボード設計が求められます。
組織のPDSサイクルに沿って活用されることが多いです。
- Plan(計画):年計、中計、長計など
- Do(実行):計画に沿った組織活動
- See(統制):月、四半期、半期、年度の振り返りと修正
戦略ダッシュボードは、See(統制)で利用します。
2. 運用ダッシュボード
運用ダッシュボードのユーザは、現場をマネジメントするリーダー層や現場の担当者です。日々問題がないかなど、よりリアルタイム性が求められ、ほぼ毎日使用されます。この点が戦略ダッシュボードとは対照的です。
例えば、WebログデータをモニタリングするGoogleアナリティクスなどは、その典型例です。
現場のOODAループに沿って活用されることが多いです。
- Observe(観察):定量・定性様々なファクトを集める
- Orient(方向づけ):集めたファクトから今後の方向性を決める
- Decide(意思決定):決めた方向性のなかからやるべきアクションを決める
- Act(行動):決めたアクションを実践する
運用ダッシュボードは、Observe(観察)で利用します。
OODAループは、最初のObserve(観察)の質が大きく問われます。Observe(観察)の質が悪いと、間違ったOrient(方向づけ)が行われ、変な方向に突き進んでしまいます。
3. 分析ダッシュボード
分析ダッシュボードのユーザは、データ分析担当者です。分析ダッシュボードは、戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードに対し、補完的な活用をされることがあり、戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードのユーザからの問いに、高速に対応できる必要があります。さらに、戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードを超越した利用も多々あります。
将来行われるであろう意思決定を見据えた分析や、戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードだけでは探れない傾向を特定するために使用されます。戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードに比べデータ量は...
データサイエンティストや機械学習エンジニアなどが、データ理解のための探索的データ分析のために利用することもあります。要は、分析ダッシュボードのユーザは、戦略ダッシュボードや運用ダッシュボードのユーザに比べ、より高度なデータリテラシーが求められます。
データリテラシーが足りないばかりに、分析ダッシュボード上で延々と意味があるのかないのか分からないような集計作業やグラフ化作業などを繰り返すこと人が、たまに見受けられますので、気を付けましょう。