オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

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オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

【目次】

    1. オイラーの公式

    構造因子の中のeπiは元々オイラーの公式として三角関数と虚数iの形で式(1)のように表されます。三角関数のcos、sinに注目すると下記のような関係になります。 

    • θ=πの時、  cosπ=-1、 sinπ=0
    • θ=2πの時、cosπ=1、  sinπ=0
    • θ=3πの時、cosπ=-1、 sinπ=0
    • θ=4πの時、cosπ=1、  sinπ=0 

     

    θがπの倍数の時、sinθ=0となり、cosθのみ注目すればよくなります。そしてπが奇数倍の時はcosθ=-1となり、πが偶数倍の時はcosθ=1となります。これを(1)式にあてはめると式(2)、(3)のようになります。式(2)、(3)のようにπの値が奇数倍の時は-1となり、偶数倍のときは1となり、それが周期的に切り替わります。

    オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

     

    2. 構造因子 体心立方格子

    体心立方格子の構造因子を見てみます。体心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と中心1/2,1/2,1/2の2箇所に原子があります。これを計算すると式(1)のようになります。

     

    ミラー指数h+k+lによって構造因子が変化します。ミラー指数は色々な面がありますが、h+k+lが奇数の時(例:100など)はeの項が-1となります。これを計算すると式(2)のようになります。h+k+lが奇数の時は構造因子が0となり、回折は起こりません。

     

    一方、h+k+lが偶数の時(例:110など)はeの項が1となります。これを計算すると式(3)のようになります。h+k+lが偶数の時は構造因子がF2=4f2となり、回折が起こります。

    オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

    次回に続きます。

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    オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

    【目次】

      1. オイラーの公式

      構造因子の中のeπiは元々オイラーの公式として三角関数と虚数iの形で式(1)のように表されます。三角関数のcos、sinに注目すると下記のような関係になります。 

      • θ=πの時、  cosπ=-1、 sinπ=0
      • θ=2πの時、cosπ=1、  sinπ=0
      • θ=3πの時、cosπ=-1、 sinπ=0
      • θ=4πの時、cosπ=1、  sinπ=0 

       

      θがπの倍数の時、sinθ=0となり、cosθのみ注目すればよくなります。そしてπが奇数倍の時はcosθ=-1となり、πが偶数倍の時はcosθ=1となります。これを(1)式にあてはめると式(2)、(3)のようになります。式(2)、(3)のようにπの値が奇数倍の時は-1となり、偶数倍のときは1となり、それが周期的に切り替わります。

      オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

       

      2. 構造因子 体心立方格子

      体心立方格子の構造因子を見てみます。体心立方格子の場合、立方格子の頂点の000と中心1/2,1/2,1/2の2箇所に原子があります。これを計算すると式(1)のようになります。

       

      ミラー指数h+k+lによって構造因子が変化します。ミラー指数は色々な面がありますが、h+k+lが奇数の時(例:100など)はeの項が-1となります。これを計算すると式(2)のようになります。h+k+lが奇数の時は構造因子が0となり、回折は起こりません。

       

      一方、h+k+lが偶数の時(例:110など)はeの項が1となります。これを計算すると式(3)のようになります。h+k+lが偶数の時は構造因子がF2=4f2となり、回折が起こります。

      オイラーの公式、構造因子 体心立方格子:金属材料基礎講座(その133)

      次回に続きます。

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      この記事の著者

      福﨑 昌宏

      金属組織の分析屋 金属材料の疲労破壊や腐食など不具合を解決します。

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