◆水素エネルギー社会 連載目次
- 1. 燃料電池自動車開発
- 2. 船舶の次世代エネルギー源
- 3. 燃料電池自動車開発競争
- 4. 東レ ~ FCV用CF増産、航空機からシフト
- 5. 炭素繊維の地域ごとにおける消費用途の差
- 6. 水素協議会
- 7. JR東日本、水素燃料車両の開発・試験
- 8. ドイツの燃料電池鉄道車両とは
- 9. 低炭素社会とは
- 10. 水素の安全性 1
- 11. 水素の安全性 2
- 12. 水素社会への潮流
今回は、トヨタの水素エネルギー戦略に関して、解説します。
1. 燃料電池システムの外販
水素をエネルギー源としての発電、このシステムの外販をビジネス化しています。BMWの燃料電池自動車にも採用されています。燃料電池システム自体はBMWの開発ですが、この中のセルはトヨタからの供給です。説明パネルの右下に小さくfuel cellと書いてあります。
写真はBMW iX5 Hydrogenです。(出展:BMW)
2. 水分解で水素を作る
「水分解装置」 燃料電池ユニットを逆に使うようなイメージです。燃料電池ユニット(燃料スタック)を応用したシステムに電源を供給することで、水を分解して水素を生み出すものです。おそらくは、排気ガス触媒から歴史があり、お得意の触媒技術を応用しているものと推察しています。
燃料電池ユニットの8割位程度の部品を流用できるということです。デンソー福島での活用が決まっています。生成した水素は工業の燃料ガスの一部として活用する等「地産地消」をうたっていました。写真はトヨタ自動車のオンライン・バーチャル展示からのハードコピーです。
3. 水素貯蔵システムの外販
水素貯蔵モジュールにも取り組んでいます。ミライに搭載されている3種のタンクのうち、一番大きいタンク4本を束ねた貯蔵ユニットです。
4. 高圧水素タンクの外販
豊田合成から中型の貯蔵用タンクの展示がありました。もちろん貯蔵以外の、大型トラック車載や船舶への搭載も想定されます。
トヨタと豊田合成は連携して高圧水素タンクをラインナップしています。小さいほうの3種類はミライに搭載しているもので、最も小さいタンクは豊田合成いなべ工場の生産です。大きいサイズのタンクもおそらくは豊田合成の生産品になると思われます。
7種ありますが、直径は3種という点がミソですね。直径を統一して長さで容量を変えることで、開発評価と製造が効率的になります。展示ブース自体がトヨタグループとしての展示になっています。トヨタグループでは他に豊田自動織機がオリジナルの高圧水素タンクと小型の燃料電池システムの開発製造を担っています。当然、豊田自動織機のメイン製品であるフォークリフトへも搭載しています。
商社として機能を生かしてのハンドリングとビジネス化などは豊田通商の分担です。グループ力を使える点がトヨタの強みで...
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※更なる詳細解説は筆者のサイトをご覧ください。https://www.tech-t.jp/
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