標準添加法、分光システム:金属材料基礎講座(その152)

【目次】

    1. 標準添加法

    標準添加法とは試料溶液を複数種類に分けて、そこに標準溶液をそれぞれ濃度を変えて添加します。この発光強度を測定し検量線を作成します。

     

    そして、検量線を濃度0のX軸に向けて外挿し、X軸から濃度を計算します。標準添加法のグラフを下図に示します。標準添加法では濃度0の時に発光強度0が成り立つことが必要です。そのため、バックグラウンド補正が正確に行われなければなりません。バックグラウンドは完全にフラットとなることは困難であり、多少の凹凸があります。これらを考慮してバックグラウンド補正が行われます。標準添加法は物理干渉やイオン干渉を補正できる利点があります。

     

    図.標準添加法

     

    2. 分光システム

    プラズマから発光された光は分光システム(回折現象)によって目的元素の波長に分けられます。ICP-AESでは波長を適切に分光するため、高分解能の分光システムが必要となります。分光器としてはnmレベルの分光が必要になります。

     

    そして分光された目的元素のスペクトルとして検出器によって検出されます。分光器はシーケンシャルタイプ(波長掃引)とマルチチャンネルタイプ(多元素同時測定)に分かれます。シーケンシャルタイプとしてはモノクロメータ(ツェルニ・ターナー型分光器)、マルチチャンネルタイプとしてはエシェル(エシェル型分光器)またはポリクロメーター(パッシェンルンゲ型分光器)が使用されます。それぞれの模式図を下図に示します。

     

    図.各種分光器の模式図

    ツェルニ・ターナー型分光器では、プラズマからの入射光はスリットを通して分光器に入ります。光は凹面鏡によって平行になり、回折格子により分光されて、次の凹面鏡によって集光されて出射スリットを通り検出器によって検出されます。

     

    エシェル型分光器では、刻線数の少ない回折格子とプリズムが使用されます。一般に分光器は刻線数が多いほど高分解能ですが、プリズムを使用することで異なる次数の波長を使用します。そして光を縦方向に分散させ面検出で光を検出します。面で光を検出するため多元素同時測定が可能です。

     

    パッシェンルンゲ型分光器では、ローランド円という回折格子の曲率の円に入射スリット、回折格子、検出器を設置します。入射された光は回折格子によって回折され、検出器に検出されます。検出器を多数並べることで多元素同...

    時測定を可能にしています。

     

    次回に続きます。

    関連解説記事:マランゴニ対流~宇宙でもきれいに混ざらない合金の不思議 

    関連解説記事:金属材料基礎講座 【連載記事紹介】

     

    連載記事紹介:ものづくりドットコムの人気連載記事をまとめたページはこちら!

     

    【ものづくり セミナーサーチ】 セミナー紹介:国内最大級のセミナー掲載数 〈ものづくりセミナーサーチ〉 はこちら!

     

    ↓ 続きを読むには・・・

    新規会員登録


    この記事の著者