1. 検出器
分光システムの最後に検出器がセットされ光を検出します。検出器には大きく光電子倍増管と半導体検出器の2種類があります。シーケンシャルタイプには光電子倍増管、マルチチャンネルタイプには半導体検出器が使用されます。
光電子倍増管は光電効果により、電気信号に変換して検出します。入射光を光電陰極に照射して電子を放出させます。これを光電子倍増陽極によって増加させていきます。半導体検出器よりも感度は良いとされます。
半導体検出器はCCDやCIDなどの光電子変換素子が使用されています。光を2次元のマップとしてリアルタイムに検出できるので、エシェル型分光器のように多元素同時測定ができます。半導体検出器に光が入射されると光の強さに応じた電荷が蓄えられます。これが運ばれて電気信号に変換されます。
2. 質量分析
ICPには発光スペクトルを分光分析するICP-AES(Atomic Emission Spectroscopy)の他に質量分析によって分析するICP-MS(Mass Spectroscopy)があります。どちらも溶液試料をプラズマ中に噴霧することは同じです。発光分光分析はプラズマ中の元素の発光スペクトルを測定するのに対して、質量分析はプラズマ中のイオンを直接真空中に引き込み、質量分析を行います。なお、発光分光分析と質量分析はICPの他に固体試料にグロー放電を照射するGD-OESとGD-MSでも行われています。測定感度はAESがおよそppmレベルなのに対してMSはおよそppbレベルのため、MSの方が高感度です。
プラズマ中では元素の多くがイオンとなっています。元素(イオン)の質量は固有のため、質量電荷比(m/z)によって元素の種類を定性分析します。そして、信号強度から定量分析を行います。イオン化した元素はインターフェイスを通り、イオンレンズで収束され、質量分析計で質量電荷比に応じて分離され、検出器で検出します。ICP-MSの模式図を下図に示します。
図.ICP‐MSの模式図
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