今回は、会議やミーティングでの発言を活かし、参加者の気持ちを前向きにさせるファシリテーションテクニックについておはなしします。
1. 肯定的な反応
「坂田さん、なんか雰囲気が変わってきましたよ。」と、若手リーダーからメールが届きました。このリーダーは、会議を開いても雰囲気が重く、意見やアイデアもなかなか出てこない事に、悩みを抱いていました。
原因は、前任の課長が意見を言ったりすると「で?それがどうしたの?」を口癖のように言い続けていて、これに対してメンバー達が何も言えなくなってしまった、とのこと。この雰囲気をすぐにでも変えたいと、私のもとに相談がきていました。
このとき、私がアドバイスしたことは「なるほどね~」でした。会議を盛り上げるには、ちょっとした工夫。「なるほどね~」という肯定的な反応は、会議を活発にし、笑顔や笑い声を増やしたり、会議の雰囲気が改善され、参加者間のコミュニケーションがより円滑になります。
「なるほどね~」は「あなたの言っていることを聞いて、理解しましたよ。」という相手にとって肯定的な意味が込められています。これは、発言をした人にとって、ポジティブなフィードバックとして受け止められやすく、発言者は自身の意見や発言が理解され、受け入れられていると感じ、自信を持つことができるのです。また、人は、他者からの肯定的な反応や支持を得ると、さらにその行動を続けたくなる心理があります。
理解されている!受け入れられている!ウケている!と感じると「もっと発言をしたい!」「もっと、話し続けたい!」となるのです。
「なるほどね~」という反応は、発言者に対する社会的な支持(ソーシャルリインフォースメント)を示しており、発言者が「もっと発言をしたい!」というモチベーションを高めます。また、リーダーのメールには「誰かが発言をしたら、”なるほどね~”という言葉をみんなで言ってみる。」というルールを会議の中に取り入れたそうです。
すると「なるほどね~」と反応すると、会議室内に笑いが起こったというのです。これにより、発言者と他の参加者の間に親近感が生まれ、リラックスした雰囲気を醸し出し、笑いを誘うようになります。
2. 心理的安全性
肯定的な反応は、会議の参加者全員にとっての心理的安全性を高めます。
心理的安全性が高まると、参加者は安心して意見を述べたり、冗談を言ったりすることができるため、自然と笑いが増えるのです。笑いは伝染しやすいもので、一人の笑い声が他の参加者にも伝わることがあります。
私たちの脳には、ミラーニューロンという「ものまね神経」があり、他人の感情や思いを自分の心の中に映し出す機能を持っています。誰かが笑うと、自分も笑う。誰かが楽しいと、自分も楽しい。この反応は、ミラーニューロンが活性化されて起こる感情の変化なのです。
この、ミラーニューロンの働きにより、一人が「なるほどね~」と笑顔で反応すると、他の参加者も同じように笑顔になり、笑いが広がるのです。さらには、肯定的な反応を続けることで、オキシトシン(信頼関係や絆を深めるホルモン)とドーパミン(快楽や報酬に関連する神経伝達物質)が脳内で分泌されます。これにより、会議の参加者間の結びつきが強まり、リラックスして楽しい雰囲気が生まれます。
私は、この原理原則を背景に「なるほどね~」を多くのリーダーに勧めています。
私に相談をしてくれたリーダーは「メンバーが私の知らない細かい事や、困り事なども話してくれるようになり、職場の中で何が起きているのか把握しやすくなりました。」と話していました。この小さな情報は、チームのリスクを見極め、事前に対策をとるこ...
変わり始めた職場の雰囲気。大切に育て続けてほしいと思います。
- ポジティブなフィードバック
- オキシトシンとドーパミンの効果
- ミラーニューロンの活性化
会議を盛り上げるには、ファシリテーションが効果的。「なるほどね~」会議出席者全員で、使ってみましょう。