初晶がある共晶組織の量的計算:金属材料基礎講座(その166) わかりやすく解説

 

◆ 初晶がある共晶組織の量的計算

金属材料の組成は常に共晶組織というわけではありません。共晶組織からずれた組成となることの方が多いです。共晶組成からずれると共晶反応の前に液相から固相の晶出が起こります。

 

これは何かの反応ではなく、凝固過程として液相から固相が表れます。これを初晶(固相の場合は初析)と言います。初晶がある共晶組織の模式図を下図に示します。例としてA-30%B合金(W点)を扱います。

 

図.共晶組織の模式図

 

温度T1の共晶温度直上では液相Lと初晶αの組織となります。この時のLはWS、初晶αはTW、分母はTSとなります。これらを計算すると式(1)、(2)のようになります。

 

そして温度T2の共晶温度直下では液相Lから共晶αと共晶βが晶出する共晶反応が起こります。共晶反応におけるαの比率はVT、βの比率はTS、分母はVSで表されます。

 

そして、すでに液相から0.67分が初晶αとして晶出しているので、残りの0.33の液相Lから共晶反応が起きたとして計算します。これをふまえて計算すると式(3)、(4)のようになります。

 

液相から晶出する共晶αと共晶βの比率(共晶組織)は一定ですが、合金組成によって共晶組織の量が変化していきます。共晶組成Tに近いほど共晶組織の量が多くなり、共晶線の端S(β相の場合はV)に近いほど共晶組織の量が少なくなります。

 

次回に続きます。

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