クリーン化について(その138)人財育成(その39)ものづくりの分野の心配事

【目次】

    前回のクリーン化について(その137)人財育成(その38)60面は通過点、極限はシリカゲルに続けて解説します。

     

    “多面的にものを見る、考えること”について私のこれまでの経験から、60面カットのダイヤモンドやシリカゲルまでも引き合いに出し、色々綴ってきました。勿論、自分自身ができているわけではなく、目指す姿です。これは、画一的な考え方や、狭い範囲での見方、考え方しか持ち得ていないと、現場を見ても、狭く、浅くそして表面的になってしまい、問題点や不具合が見つかりません。いつも同じことにしか気がつかないのでは自分も現場も成長しないですね。それでは、改善案や対策も限られてしまいます。

     

    多面的にものを見たり、考えたりすることができれば、毎日現場を歩いても、様々な不具合に気がついたり、現場の管理、部下の指導育成などでも気づくことがあるでしょう。“現場とは、その場に現れる”と書くように日々刻々と変化しています。違う顔を見せるのです。それに気づくかどうか。変化に対応できるかどうかです。

     

    自分が旧態依然であっては、現場の進化、変化に気づかないばかりか対応もできません。会社、現場ともに成長し続けることに対し、人財育成の部分(人を育てる、自ら育つの両面)は非常に重要だと考え、時間を掛けてお話してきました。

     

    これらを執筆している中でも、ものづくり環境がどんどん変化し、心配になることが多くなってきたので、その心配事をまずお話し、その後、クリーン化の基礎の部分に戻り解説します。

     

    1. ものづくりの分野の心配事

    まず、ものづくりの分野の心配事を記します。最近は大企業の不祥事が増えてきました。近年でも次のように次から次へと発生している。これでは今後も続くでしょう。

    会見時の対応、発言にも気になることが多い。あれは現場がやったことだとか、不正は良くないが、でも品質には問題はない、と言うのも当事者としての責任を感じません。ものづくりの分野では、品質監査や内部品質監査の仕組みがあると思いますが、それらは機能しないのでしょうか。

     

    昔は海外でも、メイドインジャパンとか、日本品質と言われた時期があったが、そのことばも死語になったのではないでしょうか。危機感、危機意識、当事者意識が足りないどころではないと感じる。反面、安全、安心を謳うのには無理があります。格好良いことばを並べても、心に響くことはありません。“何のために、誰のためにものを作るのか”と言うことが見失われ、作ることだけが目的になっているように思います。ものを作って、市場に出す、そこへの使命感はないのだろうか。作り手の思いが伝わってこないですね。このような人命に関わる多くの不祥事があっても、自社は潰れるはずがないという先入感が心を支配していることがないでしょうか。

     

    また、サプライチェーンに対して、圧力を掛ける事例も出てきました。それらの企業に支えられ、恩恵を受けてきたはずですが、被害を被ってきた企業の苦しみがやっと表面化したと言うことでしょう。正義感を持って通報したのに、問題が表面化すると、すぐに犯人捜しが始まってしまいます。これもその企業の対応の仕方が正常ではないですね。このように隠す、伏せると言う体質から脱皮したいです。

     

    社員を大切にしない会社、部下を大切にしない上司から人は離れていきます。それと同じことがサプライチェーンにおいても言えると思います。一旦信頼を損ねてしまうと、そういう負の部分は多くの人の心に残ります。

     

    どんなに大きな企業であっても、明日はどうなるかわからないと言う危機感や、当事者意識が足りないと感じます。それが社会に及ぼす影響も表面化してきました。それは、企業の永続、繁栄という部分に影響を及ぼすのではないかと感じます。栄枯盛衰と言う言葉があります。繁栄したのはあの時だったと言う過去の話にならないよう考えるときではないでしょうか。

     

    自動車メーカーの不祥事の件も、海外でのインタビューでは、日本の品質は低下したとか、信用できない等の反応もあった。これらは面と向かって言われているのではないので、人ごとになってしまいます。日本のものづくりに関わってきたものとしては、残念で仕方がありません。

     

    私は、ものづくり企業の強い基盤構築のために、クリーン化という分野で貢献しようと考えてきましたが、昨今要求度の低い活動、位置づけになってしまったのではないかと推測します。その前に人として、企業人としてきちんとしていないと、クリーン化の話をしても、伝わるものがないように思います。

     

    日本は元々資源の乏しい国ですから、海外から資源を調達し、製品化する、そこに強みがあった。それが評価されてきたのに、崩れて行くような気がします。...

    すると後は何が残るのでしょうか。このように心配しているのは私だけでしょうか。さて、次回、クリーン化の基礎から始めます。 

     

    2. クリーン化って掃除のことだとの先入感

    クリーン化のことを知らずして、ものづくりの現場で“旧態依然”のまま生産活動を続けてしまうのはもったいないです。私が訪問したところでは、“クリーン化無くして、品質なし!”とのキャッチフレーズで頑張っているところもありました。この大切さを伝えたいと思っています。しばらく、この部分は残しておきます。

     

    【参考文献】 
    清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
        同    電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
        同   「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年

     

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