前回、技術者のキャリア整理法 (その1)自分自身のマーケティングについて述べました。今回は、(その2)ライフキャリアの視点です。人生には、楽しいこと、悲しいことなどいろいろなことがあります。大学受験、就職、仕事の基本を学習する時期、成果をあげる時期、結婚、仕事の失敗、上司と部下とのコミュニケーション、子供の入学・卒業・就職、リストラ、定年など。これらの問題点に直面したとき、何のためにそれをやるのかを考えることが、問題点をブレークスルーする最大の防御になるかもしれません。最近では、「何のために働くのか」、「何のために生きるのか」を考えることが、急がば回れで、人生を豊かにすることだと考えるようになりました。
従来のキャリアデザインの考え方は、主に、会社人生の中で、どうキャリアアップするかを考えていたのではないでしょうか。今後は、次の2つの切り口で考える必要があります。1つ目は、入社、配転、昇進、定年退職、退職後などキャリアの移行期の「ライフステージ」の視点で、2つ目は、職業人、子供(息子・娘)、学習者(学生)、配偶者、ホームメーカー(家庭を切り盛りする人)、親、余暇を楽しむ人、市民から見た「ライフロール」の視点です。
図1は、キャリアデザインの考え方を、「ライフ(生涯)キャリアで考え直しませんか?」と啓蒙するためのチャートです。生涯を80年余りとした時、その中間地点を「人生の正午」と表現しています。40歳前後になったら、これまでの人生を振り返り、これからの人生をどう生きたいかを考えてみると、仕事やプライベートの目先の問題点は、小さな悩みとなってしまう可能性が高くなるのです。自問自答を繰り返し、現在の組織や団体のことだけでなく、定年後の20年、30年が重要な意味を持ってくることに気づくはずです。最近では、40歳前後のことを、「心の定年」という言葉で表現されています。
図1 ライフキャリアの考え方
ライフ(生涯)キャリアにおける定年後の20年、30年を考えた場合、何が重要かが見えてきます。考える一つのモノサシとして、図2のような8つのライフロールの切り口があります。
- 職業人として役割(会社員、公務員、教員、個人事業主等)
- 子供としての役割(息子、娘、養子等)
- 学習者としての役割(学生、資格取得学習、生涯学習等)
- 配偶者としての役割(妻、夫)
- ホームメーカーとして役割(料理、洗濯、買い物、ゴミだし、家屋の修理等を行う人)
- 親...
ここで、筆者の今までの記事を読んだ人の中には、ハッと思った人もおられるでしょう。つまり、視野や思考の拡大であり、抽象化思考の人生版ということなのです。
図2 ライフロールの考え方