・前回の クリーン化について(その150)クリーン化の基礎(その12)の続きです。
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ここのところ半導体製造の分野が盛り上がってきました。しかも、ナノメートルの世界を目指しています。しかしながら、その土台、基盤がしっかりしているのか、クリーン化の基礎をきちんと持ち合わせているかと言うことを心配しています。何事も基本、基礎がしっかりしていて、その上で高いレベルへの挑戦が可能だと考えています。行き詰まった時、基本に帰れと言いますが、その基本はどこなのかと言うことです。
高いレベルを目指すとき、開発、設計、技術がしっかりしていても、それを具現化する現場の力は追いついているでしょうか。良く、理論的には可能だが・・・と言う言葉も聞きます。ものが作れなければ、現場との乖離は大きく、理論、理屈の話で終わってしまいます。いずれの企業の成功をも願いながら、桁違いの投資額ですから、損益分岐点はどの当たりになるのだろうか。企業間の差は顕著に出るのかなど気になります。その危機感を感じているので、クリーン化の基礎の部分に立ち戻り説明していきます。
5. クリーン化4原則とは
- 〈持ち込まない〉 クリーンルームにはゴミの出るものは持ち込まない
- 〈発生させない〉 クリーンルームに入ったらゴミを発生させる行為はしない
- 〈堆積させない〉 ゴミがあってもそのままにしない
- 〈排除する〉 ゴミは速やかに排除する
これは別途説明しますが、クリーンルームではこのよ...
各企業を訪問した時にいただく会社案内やパンフレット等の中に、クリーン化に取り組んでいる場合、このクリーン化4原則が記してあるところが多いです。勿論製造品目等によって、あるいはクリーンルームの管理レベルなど様々な条件により、表現に違いはあります。単にコピーしたような場合は、同じ記述ですが、実際に活動しているところでは、より具体的に、あるいは実態に即してアレンジして有りますので、活動が表面的なのか、否かも推測できる場合があります。
冒頭の図、右枠内に、“クリーン化4原則+監視”と記しました。これは最近よく言われるようになりました。設備は日々劣化するので、こまめに監視を続けることが重要だということです。 状態は日々変化するからです。
【事例②】 稲作から学ぶ監視の重要性
新潟県のある工場から現場診断・指導を依頼された時のこと。
その工場は田園地帯の中の工業団地にあった。その現場はクリーンルームというほどではないですが、ゴミによる品質問題が発生していた。それはかなり大きな問題になる可能性があった。何度か訪問すると、従業員の方とも顔見知りになり、雑談もできるようになりました。ある方が、「ここはお米の産地です。田植えの後は大変なんです」 と言うのです。
具体的に話を聞くと「朝早く自分の家の田んぼに行って、水は大丈夫か、田んぼの周りに不具合はないかを確認し、自宅に戻って、着替えて出社する。仕事が終わると、一旦帰宅し、着替えてから田んぼの様子を見に行く。これを毎日繰り返している」とのことです。
私が「それは毎日やらなければいけないのですか」 と聞くと「そうなんです。昨日夕方水を見て良かったとしても、そのあと上流で水流調整したために、自分の田んぼに大量の水が入ってきているかも知れない。田植え後の稲の丈はまだ短いので、水没しているかも知れない。
また、一晩のうちにモグラが穴をあけて、田んぼの水がすっかり抜けているかも知れない。昨日良かったから今日も良いという保証はない、だから毎日見るんです」 と話していた。それは監視のことですね、と話をしたことがある。
このことはこれまで触れてきた、現場とはその場に現れると書く、日々状態は変化すると言うものづくりの現場巡回の重要性と同じですね。
余談だが、秋には田んぼの土手に、赤い花が咲く光景をよく見ます。これは彼岸花(曼殊沙華)です。彼岸花の根には毒があるので、モグラ除けなどのために植えてあると言われます。先人の知恵だそうです。彼岸花は根だけでなく茎や葉も含め全体に毒があるので、触れない方が良さそうです。
次回に続きます。
クリーン化のこと、活動の進め方、事例など個別に対応が必要でしたら、ものづくりドットコムを通じてご連絡ください。可能な限り対応致します。また、セミナー、講演会なども対応致します。
【参考文献】
清水英範 著、 「知っておくべきクリーン化の基礎」諷詠社 2023年
同 電子版 「知っておくべきクリーン化の基礎」、諷詠社 2023年
同 「日本の製造業、厳しい時代をクリーン化で生き残れ!」諷詠社 2012年
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