自社利益にリンクするサプライヤーの改善

 製造業に取ってサプライヤーとの関係は重要です。原料の品質管理が自企業の利益に少なからず影響を及ぼすからです。サプライヤーの品質に大きなばらつきがあると、それを吸収出来るだけの工程能力が無ければ品質ムラが生じ、不合格品も増え歩留りが低下します。
 
 検査で見えない信頼性に関わる部分であれば検査で見つからず、顧客工程で問題となり、いきなり苦情になる可能性もあるのでリスクも高くなります。
 
 購入コストが高ければ原価に占める割合も大きくなり、原価管理の難易度も上がります。だからと言ってサプライヤーに値引きを強く迫れば、品質の低下を伴う恐れがあります。サプライヤー側も利益確保の為にコストダウンを行わなければならず、何らかの変更を行い、それが顧客品質に影響するリスクもあるからです。もちろん品質管理の観点からは、顧客ニーズから外れる変更は行うべきではありません。 然しながら過剰な要求は、品質確保のマージンも一緒に削除される危険性があると、留意しておく必要があるでしょう。
 
 品質マネジメントシステムのISO9001では、サプライヤーの品質管理も要求されています。 自社品質を管理するために他社から購入する部材の品質も管理していく必要があるのは、理にかなっていると思います。実際、急に特性値がシフトしたので調査したら、原料ロットの変わり目とタイミングが一致したと言う話も珍しくありません。この様に明瞭な事例で無くても、サプライヤー側に品質管理情報をシェアしてもらわないと、総合的な管理は容易ではありません。
 
 即ち、品質はサプライヤーまで含め総合的に作りこんでいくものとなります。品質管理に優れていればサプライヤーにそのノウハウやスキルを提供し、一緒に、品質改善やコストダウンを行っていくのが理想的です。しかし、ここでジレンマに陥る企業が現れます。頑張ってサプライヤーの品質を良くしても、その製品をライバル企業へ販売されるなら、敵に塩を送る様なもので、痛し痒しではないのかと・・・、確かにその通りですが、ここはサプライヤーと、Win-Winの関係を築くために、あえて目をつぶ...
るという選択肢もあります。共同して品質管理を行うことで、サプライヤーからの信頼も得られ、異常時のデータ提供や共同開発や価格交渉にも協力的になってくれるはずです。
 
 顧客だけでなく、サプライヤーまで含めた、Win-Win-Win即ち、三方良しの関係を築ける事が、品質管理活動にもより効果的に作用するのです。これは製造業におけるサプライヤーとの関係だけを示唆したものではありません。 業務委託などで、別会社に自社サービスの一部を任せている場合も同様です。

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