循環棚卸(サイクルカウント)による現品管理精度向上の方法

 台帳と実在庫とを照合するのが棚卸です。年に一度は必ずおこないますが、この棚卸作業に、どれほど時間をかけているでしょうか。台帳と実在庫の差異は何パーセントでしょうか。実在庫が台帳より少ない場合、払出票の数量以上の出庫、または入庫処理の際の入力ミスなどが原因です。
 
 逆に台帳より実在庫が多い場合、払出票があっても現物を出庫しなかった、入庫の際の入力ミスなどが原因です。考えられうる原因を徹底的に追求し、それでもなお現品が台帳より少ない場合、帳消しという作業をします。在庫は資産ですから、台帳より実在庫が少ない場合は、帳簿上、資産が減ります。
 
 棚卸作業は、在庫保管場所数が多いほど、倉庫面積が広いほど、在庫品目数が多いほど、人員と時間を要します。営業要員も入れての棚卸作業は、営業パワーが棚卸作業に取られることになり、機会損失にも繋がります。こうなりますと、棚卸は頭痛のタネです。
 
 この棚卸作業時間の短縮、棚卸数量差異改善策として、ITに頼らない、倉庫内差し立てカンバンを活用した循環棚卸(サイクルカウント)化による現品管理精度向上の方法をご紹介します。
 

1.用意するもの

(1)品目カード:表には在庫品毎に棚番地、品名、仕様、単位(個、組、キログラムなど)を明記し、 裏には月日、数量を記せるよう余白をとります。
 
(2)差し立てボード:新聞受け状のポストが50個ある棚を作成し、それぞれ1~50と数字を表示する。これは1週目~50週目と年間実働週を示します。
 

2.運用方法

 例えば、棚が20個ある物流倉庫を仮定します。差し立てボードの1番のポストには棚番1に格納されている全在庫品のカードを入れます。差し立てボード2番のポストには、棚番2番に格納される全品目のカードを入れ、このようにして、差し立てボード1~20までに全ての在庫品のカードが収まります。
 
 年間実働週が50週であると仮定しますと、たとえば1週目には棚番1番の在庫品の棚卸をおこない、20週目には棚番20番の在庫品の棚卸をおこないます。物流倉庫員は、該当する週のポストからかんばん(カード)を取り出し、この品目毎に在庫数をチェックし、実施した日付と実際の数量をカードの裏側に記します。その後、カードに記された数量と台帳とを照合し、差異を確認します。21週目のポストには前回1週目のポストに入れたカードを入れます。
 
 この物流倉庫では、年に少なくても2回の循環棚卸作業が可能となり、これまでの棚卸とは別に現場主体での年2回の現品チェックが可能です。Aラン...
ク品の循環棚卸回数を増やしたい場合、該当品目のカードをより多く差し立てポストに入れて棚卸頻度を上げることが可能です。
 
 点数は限られていますが、倉庫員へは常時棚卸作業が求められ、一つルーティーンが増えます。しかし、これを遂行した企業の現品管理精度は改善され、棚卸誤差率1%以下への改善は可能です。台帳と正確な実在庫は、棚卸作業をよりラクにし、期末棚卸作業時間も短縮します。
 
 但し、倉庫の棚番地が割り当てられている、床置き在庫への区画番が付与されている、現品は整理整頓(2S)ができていることが前提であることは言うまでもありません。
 

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