【物流人財育成 連載目次】
1.現場管理の内容
前回のその4に続いて解説します。「現場管理」とは製造業を中心に発達した現場におけるマネジメントツールの一つであり、保有する資源を最大限に活用することでQCDの最適化を図ることを目的としています。それは物流業にもそのままあてはめることができます。そうすることによって規律ある仕事のしくみの定着化と優秀な現場スタッフの育成が可能となるのです。
それでは現場管理の内容について具体的に見ていきましょう。物流現場には現場スタッフを指揮する監督者がいます。彼らが現場管理の主人公であり、以下の役割を果たすことで現場管理の基礎を構築することができるのです。
(1)標準作業の設定
現状やっている作業をそのまま標準にするのではなく、ムダ・ムラ・ムリを排除した正しい作業
を標準作業とすることが求められます。
(2)標準作業の徹底
部下に標準作業を教え込み、守らせることです。 標準作業以外の方法ではやってはならないこ
とを職場のルールにすべきです。
(3)標準作業の改善
標準作業は現時点では最良の方法であっても、それは時の流れや条件の変動により変化するもの
です。常に最良の状態に改善することが大切です。
(4)作業や職場を見た瞬間に正常か異常かが判断できるようにすること
異常が見つかればすぐに対応できる体制にしておくことが求められます。
(5)常に良好な職場環境を維持すること
標準作業を守るために職場環境を良好に保つことは監督者の重要な役割です。
(1)~(5)の役割を監督者が果たすことにより現場管理の基礎を築くことができます。そういった職場では個々の現場スタッフが何をすべきかが明確になります。監督者は現場スタッフが決められたことを守っているかを常に把握する必要がありますが、そのための手法が「作業観察」です。作業観察とは標準作業どおりに作業がされているかを監督者が定期的にチェックし評価することです。その結果を部下にフィードバックし異常の発生を事前に予防するとともに標準作業の改善につなげることが目的です。
2.現場管理の重要な機能
現場管理の重要な機能として「技能訓練」があります。そのステップとして、まず職場にどのような仕事があり、それを実施するためにはどういった技能が必要なのかを整理する必要があります。その上で現状調査を行うとともにギャップを把握します。そのギャップを埋めるための訓練計画を作成し定期的に訓練を実施していくのです。どの職場にも多くの作業があります。各スタッフがすべての作業をできるよう多能工化を図ることが望ましいでしょう。一気に全員が全作業をできるようにすることはハードルが高いかもしれません。その場合は次のような目...
標を作ってみたらどうでしょうか。「一人が3作業できる。一作業を3人ができる。すべての作業を3人ができる。」つまりまずは、この
333を達成目標とするのです。
以上、現場管理の主な機能について説明してきました。しかし実際はさらに幅広い機能を持っていることでしょう。今回は現場監督者が職場の環境整備を図るとともに、標準作業を定めてPDCAサイクルを回しながら人財育成を行っていくことを提案しました。
この文書は、『月刊ロジスティクスIT』の記事を筆者により改変したものです。