皆さんは論文や報告書を書いた経験がありますか? 今回は、仕事で報告書を書ているエンジニアが本の出版で失敗する原因と成功の対策についてです。
1. 業績は形で残すと思わぬ助けになる
日頃、忙しく時間がないなかで文章を残すのはなかなか大変ですが、伝えた形が残ると、思わぬところで自分を助けてくれたりもします。
例えば、私は「博士を取らないか?」と元大阪大学教授の豊田政男先生と西本和俊先生に声をかけて頂いたとき、学位取得のつもりで書いた論文はなかったのですが、それまで仕事の区切りごとに作成していた発表資料や文献が結構見つかって本当に助けられました。
2. 「正確」「正しい」は当たり前!それだけではあなたの本は読まれない
最近は電子出版で個人も気軽に本を出せるようになっていますが、一つの伝えた形の残し方、それは「本」です。本も論文(報告書)も書き方は同じなのか、それとも大きく違うのか?
答えは「違う」なのですが、それでは、違いは次の3択のどれだと思いますか?
(1) 全体の分量
(2) エンターテイメント性
(3) データと理論の配分
答えは(2)です。正確には、(1)~(3)の全て影響があるのですが、特に際立っているのが(2)エンターテイメント性です。
論文の場合は「読む必要性のある人」が正確な情報を探すものです。だから、データの再現や論理性の追跡ができることが重要で、言い換えれば「内容が良ければいい」のです。
3. 情報の無価値化とともにあなたも無価値化する
ちなみに、「内容さえっていうけど、内容が良ければいいんじゃないの?」と感じた人は、はこれからの時代は少し苦労が増えるかも知れません。
というのは、情報の低価格化に伴い「内容が良い」は、当たり前のことであって、内容が良いことだけでは価値にならなくなってきているからです。例えば、インターネットで提供されている情報は「これが?!」という質の高いものまで無料化が進んできています。
これは講演等でも同じで、内容が良いのは当たり前、それを楽しく聞けて、かつ効果が現れる講演でないと価値がない時代に変わりつつあります。ジョークが受けない講演や質問が出ない講演は、講演内容が上滑りして相手に伝わっていない現れで、講演としての価値がゼロに近い可能性もあります。
これからの時代は、エンターテイメント性といいますか、伝え方が重要になってきているのです。伝え方を工夫して「実際に読み手の行動が変わる」なら合格です。
4. 本の書き方の秘訣
本は読者が「読んで面白いと思えば読む」ものです。そう言う意味で、本は論文に比べると伝え方が格段に難しいのです。さらに、講演のように相手の反応をみて伝え方を調整することもできません。
もちろん、論文調で本を出版することは「物理的に」可能です。でも、出版しても、売れない、読まれない「自己満足」の本になってしまいます。では、本は具体的にどう書けばいいのでしょう?
星渉先生から頂いた秘訣を紹介します。
「あなたも講師をやっていますよね。どうすれば何時間でも研修に参加して貰えるか、分かっているでしょう?」確かに。10年前は大学の講義で100人中50人が寝てしまいましたが、話し方を勉強してから寝る受講者はいなくなっています。
講演の秘訣?
ごく簡単に言えば「 聴講生の興味をつくる → 興味があるか聞く→ 話す 」実に単純で、ヒット率はほぼ100%です。この方法なら聴講生が20人いて20人の興味がバラバラでも、全員と双方向のやり取りを続けることができます。
「書き方は具体的にどうすればいいんでしょう?」
「講演の流れをそのまま書けばい...