1.考課の考察
前回のその30に続いて解説します。「情報伝達に必須の心」に相当する「挨拶、感謝、なぜの心」をどの程度まで体得しているか、それを評価項目にすることは、人材育成の視点からも重要です。コミュニケーション能力の要素である「感謝の心」を体得しているか、その程度を評価項目に挙げた場合には、次のような5段階の評価を行います。その他の項目は後述する人事考課表に記載します。
(1)感謝の心の評価
5:指示されたことへの応答と実行結果の報告が確実
4:応答と実行はあるが、報告に欠ける
3:応答も実行もまばら
2:応答はまばらで、実行は僅かである
1:言い訳が多く、実行は殆どなし
目標管理の推進に最も重要な計画立案能力の評価の水準を示します。それ以外は人事考課表に記載します。
(2)計画立案能力の評価
5:細部に渡って活動の手順が示され、中間・最終目標値が適正
4:最終目標値は明確であるが、中間目標値が一部不足
3:最終目標値は明確であるが、中間目標値が曖昧
2:中間、最終目標値共に曖昧
1:全般的に目標値が不明確
経営方針・事業計画実現のための自己の能力向上計画について評価します。先行学習以外は人事考課表に記載します。
(3)先行学習の評価
5:先を見た計画を立てて先行学習した内容を、資料集として作成し活用している
4:担当業務の先行学習計画を立て実施している
3:判らない事は独自に調べる程度
2:指示されたことについて勉強する
1:忙しいなどの理由で学修していない
評価の内容を被評価者に示し、努力目標を自覚させることで考課の意味が出てくるでしょう。
2.人事考課表の例(管理者用)
(1)コミュニケーション能力
a.挨拶の心:言語明瞭で挨拶が丁寧で感じがよい状態での声掛け
b.感謝の心:指示、連絡に対して応答と実行が丁寧で好感が持てる行動
c.なぜの心:質問が適切で理解できるまで掘り下げて質問し、提案も行う
d.報連相:報告・連絡・相談に漏れがなく、自己の意見も提案する
e.予定の見える化:予定表に注意事項も添え書きし、関係者に判りやすい
(2)事業計画遂行に伴う目標管理達成度
a.資料収集:目標に対する資料収集、解析が適切で、解決すべき問題点を判りやすく示している
b.計画立案:活動内容を細分化し、中間目標、最終目標値が適正に立案されている
c.実行度:実行の過程で計画の修正が必要と判断された時、適切な修正を行って実行されている
d.結果の評価:計画と実際の差異を明確にして、反省点を明らかにし、教訓を導き出している
e.部下の育成:活動計画を理解させ、分担すべき役割を明確にして動機付けを行い、やる気を導 き出している
...
(3)自己啓発への取り組み
a.業務改善:担当業務の問題点と改善点を明らかにして、提案を行い、実施している
b.先行学習:経営方針に沿った能力向上に努め、学習した内容を資料として利用できるように蓄
積している
c.事業計画との関連性:事業計画の達成度を高めるために計画を立て、調査研究を行っている
d.ル-ルの実践:決められた業務上のル-ルを守り、改善案を提案してより良いル-ルの制定に
尽くしている
e.協調の心:仕事を円滑に推進するために必要と考えられる業務に積極的に協力し、問題点につ
いて提案も行っている