「デルファイ法」とは?意味や実践方法、メリット・デメリットを解説
1. デルファイ法とは
デルファイ法とは、米国の大手シンク・タンクであるランド研究所が開発した意見集約の手法です。 予想したいテーマに対して多数の専門家の意見を求め、得られた回答を統計的にまとめ、さらにその結果を添えて専門家たちに再検討させる手続きを複数回繰り返すことで意見を収斂(しゅうれん)させていきます。 技術発展の未来予測の定性調査などの他、企業の経営計画やマーケティング、あるいは公共政策や社会問題、医療、教育方面など多様な意思決定に利用されます。 会議やブレインストーミングでは、強い意見に従う傾向がありますが、デルファイ法は他の意見を参考にしつつ、冷静に独自の考えをまとめ偏りのない統一意見を得やすいと言われます。
2. 【デルファイ法の基本的な実践方法】
- 意見集約したい項目について、アンケートを作成する
- 専門家(50人以上が望ましい)にアンケート記入を依頼する
- アンケートを回収し、不明点について専門家にヒアリングを行う
- 必要であれば結果をグルーピングし、匿名でアンケート結果を専門家にフィードバックする
- 専門家は匿名の意見を確認し、再度アンケートに回答する
- ③~⑤を3回以上、繰り返す
- 意見を集約し、専門家の最終見解として結果をまとめる
3. デルファイ法のメリット・デメリット
(1) メリット
- 集団知の活用・・ 複数の専門家の意見を集約することで、より多角的な視点が得られる。
- 反復的なフィードバック・・ 複数回のラウンドを通じて意見を洗練させることができる。
- 匿名性・・ 専門家が匿名で意見を出し合うため、発言の自由度が高まる。
- 合意形成・・ 意見の収束を促し、合意形成がしやすい。
- 時間と場所の柔軟性・・ オンラインで実施できるため、地理的な制約が少ない。
(2) デメリット
- 専門家の選定が重要・・ 適切な専門家を選ばないと、結果の信頼性が低下する。
- 意見の偏り・・ 特定の意見が強調されると、全体のバランスが崩れる可能性がある。
- 時間がかかる・・ 複数のラウンドを行うため、結果が得られるまでに時間がかかる。
- コミュニケーションの限界・・ 書面でのやり取りが多いため、ニュアンスが伝わりにくいことがある。
- 結果の解釈が難しい・・ 得られた意見をどのように解釈するかが難しい場合がある。
4. デルファイ法を上手く活用するためのポイント
デルファイ法は、次のポイントを押さえることで、より効果的に活用できます。
・専門家の選定
デルファイ法の成功は、参加する専門家の質に大きく依存します。関連する分野での経験や知識を持つ専門家を選ぶことが重要です。
・明確な目的設定
何を達成したいのか、具体的な目的を明確にすることで、専門家からの意見がより焦点を絞ったものになります。
・質問の設計
専門家に投げかける質問は、具体的で明確であるべきです。オープンエンドの質問や、選択肢を与える形式など、目的に応じた質問を考えましょう。
・フィードバックの提供
各ラウンドの後に、専門家に他の参加者の意見や統計情報をフィードバックすることで、意見の再考を促すことができます。これにより、より洗練された意見が得られます。
・ラウンドの設定
複数回のラウンドを設けることで、意見の収束を図ります。各ラウンドの間に十分な時間を設け、専門家が考える時間を持てるようにしましょう。
・匿名性の確保
専門家が自由に意見を述べられるように、匿名性を保つことが重要です。これにより、他の参加者の影響を受けずに自分の意見を表現しやすくなります。
・結果の分析と報告
最終的な結果をしっかりと分析し、参加者に報告することが大切です。結果を共有することで、専門家の意見がどのように活用されたかを理解してもらえます。
これらのポイントを押さえることで、デルファイ法をより効果的に活用できると思います
5. その他のアイデア発想法
アイデア発想法には次に示すように、大きく分けて4種類あります。
- 自由な連想によって刺激を受けることを目的とした方法で、ブレ-ン・ストーミング法はこれに相当します。この他にはチェックリスト法やゴードン法などがあります。
- 情報の組合せによって発想を得る事を目的とした方法で、形態分析法、欠点列挙法、属性列挙法、系統図法、KJ法などがあります。
- 他の分野の仕組み等を当てはめて発想のヒントを得ようとする方法で、焦点法、バイオニクス、NM法、シネクティクス法などがあります。
- 発想の枠組みを切り替えさせることを目的とした方法で、仮想状況設定法、ポジショニング法、キャスティング法などがあります。
6. まとめ
突如として始まる大きな変化は企業や社会に厳しい現実を突きつけますが、世界がどのように変化していくのかは誰も予測できません。一方、先行きを示す手がかりはあり、経営者はそれをもとにして好ましい未来への舵取りをすることができます。しかし、未来を洞察する武器で時代の流れを捉え成長させていくには、予測機能をビジネスモデルに組み込む必要があります。さらに経営者は学者のように物事を見ながら未来を好機に変えるように予測ツールを使いこなしていかなければなりません。今回は、このような背景を踏まえて、デルファイ法の概要を解説しました。