「等価交換法」とは、キーワードからわかりやすく解説
1. 「等価交換法」とは
等価交換法とは、対象となるものをほかのものと一旦置き換えて、そこからアイデアを膨らませていく発想法です。例えば新しいバケツを考えるときに、同じ水を入れるという点でコップをイメージして、コップに特有の性質を考えます。「透明である」「6個入り販売」「取手付き」「模様付」などの特性を持っていますから、これらをバケツに取り入れたらどうなるだろうと考えるわけです。非常にシンプルで、自然にやっている人もいるかもしれませんが、手法と捉えることでシステマチックに考えることが可能となります。
2. 「等価交換法」の利用手順
等価交換法は、設定したテーマに対して、その対象と等価なものを探索し、置き換える方法です。非常にシンプルな発想法だと思いませんか?そうです、みなさんも日常で自然に行っているアイデア発想法なのです。
【等価交換法の手順】
- 対象テーマ、課題を設定する
- 対象テーマ、課題と等価なものを探し出す
- 等価なものを対象テーマや課題へと置き換える
- 置き換えたものを起点として、アイデアを膨らませる
3. 企業における「等価交換法」の活用
企業では、等価交換法をどのように活用すると良いでしょうか。
①活用先、新商品や研究開発テーマの企画、アイデア発想
例えば、既存事業として医療機器向け樹脂材料を開発しているのであれば、人体へ悪影響がほとんど見られないという安全、信頼性が顧客価値です。では、医療機器と等価で安全、信頼性を重視する他の市場には、どのような業界があるでしょうか?例えば、自動車や航空機など人命にかかわる業界への応用が考えられます。樹脂材料が経年劣化しにくい、軽いという価値を持っていれば、その価値を別の業界に活用できないか、その業界で販売するためにはどのような研究開発テーマが必要となるか…という具合にブレイクダウンすることで等価交換法によるアイデア創出が活きてきます。
②活用先、組織マネジメント
例えば、メンバーのモチベーションが低くなっているという課題に対して、動機付けをキーワードに等価となるものを探します。実際に私が行った活動では「動機付け」を「業務のゲーム化」「社内専門家制度」と等価交換しました。動機付け=ゲームをクリアするように、業務をステップごとに細分化し、一つ達成するごとに得点をカウント、メンバー全員に周知しながら競う方法ですが、ゲーム好きなメンバーが多くいた組織で有効でした。動機付け=社内専門家は、メンバー一人ひとりに専門技術を設定し、担当技術について誰よりも(少なくとも社内No.1となる)知見を得るために社内・外活動をする施策です。こちらはメンバーの責任意識が芽生え、スキルアップと同時に積極性が生じた好例です。