信頼性試験・加速試験、信頼性試験の問題点、加速試験とアレニウスの式
1. 信頼性試験の問題点
設計した製品や購入部品の品質が確保されているかを調べたるために、信頼性試験を行います。メーカーではこの試験が、量産移行や製品出荷の関所となっています。また、規格への準拠や、カタログへの記載の条件になっていることもあります。しかし、信頼性試験には次の問題点があります。
(1) 複雑さの壁(品質の問題)
(2) 数の壁(コストの問題)
(3) 時間の壁(開発期間・納期の問題)
このような問題を克服できる評価方法として、機能性評価(機能の安定性評価)があります。
2. 加速試験とアレニウスの式
プラスチックやゴム、接着剤などの有機材料は熱や水分などにより少しずつ劣化します。しかも、その劣化の程度が大きいため、使用期間中にどの程度劣化するかを想定することが、製品設計を行う上で重要なポイントになります。ただ、実際の使用期間に渡って劣化を評価することは、数年~数十年の期間を必要とするため不可能なため、簡単に何らかの加速試験を行う必要があります。最も一般的な加速試験が、アレニウスの式を利用して計算する方法です。
アレニウスは化学反応の速度を以下の式に記載しました。
K=A exp(-Ea/kT)
K:反応速度
A:定数
k:ボルツマン定数
T:絶対温度(K)
活性化エネルギーEaはそれぞれの材料固有の値ですので、化学反応の速度は温度に依存することをアレニウスの式は表しています。アレニウスの式は多くの企業で設計検討や寿命予測などの加速試験に活用されています。
「信頼性試験・加速試験」のキーワード解説記事
もっと見る電子デバイスの故障解析とは
1. 故障解析に求められる知見 故障解析を実施する場合、故障モードに適した「試験装置、試験条件」の選定、さらに物理...
1. 故障解析に求められる知見 故障解析を実施する場合、故障モードに適した「試験装置、試験条件」の選定、さらに物理...
「信頼性試験・加速試験」に関するセミナー
もっと見る高分子の劣化・変色のメカニズムと寿命評価及びトラブル解析事例
★各種ポリマーの弱点を中心にポリマー選択の際の注意点や高分子材料の劣化評価法、解析法、寿命予測のポイントについて実例を交えて解説!
開催日: 2025-06-04
信頼性試験と故障解析の理論と実践
〇品質不具合を未然に防止するために!信頼性試験の本質が学べます。〇信頼性試験の基礎・考慮すべきポイントから、加速理論を用いた試験条件の設定法、故障メカニズム解明のための調査・...
開催日: 2025-04-25
化粧品品質安定性確保と評価の進め方・トラブル対応
~設計安定性、製造安定性、上市後安定性、夫々どのように確保すべきか~ ★化粧品の『安定性』をどのように確保したらよいか、様々な考察を基に解説! ※本セミナーはZOOMを使...
開催日: 2025-04-15
加速試験の計画と条件設定、及び効率的な進め方
★どのように試験条件を決め、適切なモデルに当てはめるか! ★ワイブル解析の実施、利用方法と結果の見方とは! ★事例を踏まえ高い信頼性を得るための信頼性加速試験の活かし方、注...
開催日: 2025-04-15
接着接合の評価技術、研究事例まで ~接着接合を“強度”の視点でわかりやすく解説:その2~
「接着接合の強度評価と、構造用部材としての耐久性を理解できます」 接着接合の基本的なメカニズムから、力学的な評価方法およびデータの正確な解釈の仕方、さらに耐久性に及ぼす強度...
開催日: オンデマンド