「直交表」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「直交表」とは

直交表は一部実施にもかかわらず、高次交互作用の評価を断念することで少ない実験で要因効果を知るためのツールです。 工業実験の成果を上げるためにはより多くの因子を扱う事が有効ですが、原理的には掛け算で実験数が増えてしまいます。そこですべての組み合わせを評価せず、一部の組み合わせを実験して統計的に要因効果を評価するために直交表が使われます。戦後日本の製造業発展は直交表の効果と言う人もいるほど効果的な手法で、二水準系、三水準系など多くの種類があります。

 

2. 「直交表」を用いた工業実験

一昔前とは異なり昨今の工業製品は構成が複雑化しており、性能を向上させるのに2つや3つの因子を修正しただけでは目標が達成できなくなっています。高度な製品の機能には100個以上の因子が影響していることも珍しくありません。

 

 一方世の中はますます開発期間の短縮を要求してきており、実験の計画にあたっては出来るだけ多くの因子を出来るだけ少ないサンプル数で評価するという矛盾した条件が求められます。因子数が多い場合に、まともに多元配置実験を実行すると、気が遠くなるようなサンプル数を作ることになって現実的ではありません。そんな時には「直交表」を使うと効率的です。直交表を用いた工業実験の計画は主に日本で発展した方法で、日本の工業製品の優秀さの一つの理由は直交表であるとも言われるくらいです。

 

3. 「直交表」で評価する特性が複数ある時

ある特性を改善したい時に別の特性とトレードオフの関係になることがよくあります。理想的には品質工学でいう「基本機能」を見つけ、これひとつで最適解を追求できると良いのですが、慣れるまでは容易でなく、現実的には各サンプルについて、もともと評価しようとした特性だけでなく、影響しそうな他の特性についても測定し、それぞれについて要因効果図を作成してすべての特性を満足する因子水準の組み合わせを検討することになります。

 

この時実験に組み込んだ因子が少ないと、やはりトレードオフ関係が解消されない危険性が高くなります。複数の評価特性それぞれに効果が期待できる別々の因子を多数同時に評価することで、いずれの特性も満足できる最適解が得られる確率が高まります。

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