BSC(バランスト・スコアカード)とは?どのように戦略の全体像を捉えるのか、わかりやすく解説

 

1. BSCとは

BSC(バランスト・スコアカード)とは、R.キャプランとD.ノートンによって提唱された業務評価方法であり、財務の視点・顧客の視点・業務プロセスの視点・学習と成長の視点の4つの視点で分類し、それぞれに設定した指標を見ながらバランス良く成長して成果を出す事を目指しています。現場ではプロセス指標だらけになったり、本社では財務の視点が偏重されたり、アンバランススコアカードにならないように、またすべての指標が全社ビジョンの元に帰結するように注意が必要です。

 

2. BSC、経営戦略をどうビジュアル表現するのか

経営戦略は経営層だけが理解できればよいわけではありません。実行に関わる全員が把握できるよう、わかりやすく伝えるための仕掛けが必要です。そうした仕掛けの1つに、バランスト・スコアカード(BSC)があります。BSC戦略マップは、こうした問題に応えるために提案された、KPI間の因果関係を示す図表です。ある1つのKPIを達成するために、どのKPIが寄与するかを示すことで、戦略の全体像を捉えることができます。

 

BSCの特徴は、財務(Financial)、顧客(Customer)、業務プロセス(Internal Business Process)、学習と成長(Learning and Growth)、の4つの視点(Perspective)で定める、重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)です。BSCは汎用性が高く、会社の規模や業種に関わらず運用することができます。

 

戦略マップは任意の細かさで作成できますが、あまり詳細化すると理解や進捗の把握が難しくなります。また、戦略目標設定が総花的でメリハリがなくなりますので、あえて適切なレベルの粗さに留め、骨太の戦略マップとしてまとめるのがコツです。BSCは、これを部門や個人レベルで作成することも可能です。その場合には、部門であれば事業全体の、個人であれば部全体の戦略と整合させるようにしましょう。

 

3. 部門・個人の目標をBSCで経営戦略に整合させるためのポイント

  1.  部門や個人の目標を戦略に整合させる
  2.  責任に応じた財務目標を設定する
  3.  部門については事業、個人については部門で財務目標を設定する

製造部門を例に取ると、財務目標は製造に関する予算計画に沿って設定するのが適切です。ただし、評価に当たっては、製造原価をひとまとめにして見るだけでなく、理由も含めて見るようにします。標準原価計算を行っているのであれば、たとえば数量差異を見て予算計画と実績の乖離を判断することが重要です。数量が計画よりも大幅に少なかった場合に、単純に予算計画と実績の製造原価だけを見て成果を判断してはなりません。

 

個人ごとの財務目標についても、部門単位の財務目標設定と同様に考えます。結果に対して関与できない事柄を、個人の財務目標として設定することは避ける必要があります。

 


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部門・個人の目標をバランスト・スコアカードで経営戦略に整合させるには

◆部門・個人の目標をバランスト・スコアカードで経営戦略に整合させるためのポイント   1.部門や個人の目標を戦略に整合させる  バランストスコア...

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バランスト・スコアカード:経営戦略のビジュアル表現

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