「RCA(根本原因分析)」とは、キーワードからわかりやすく解説

 

1. 「RCA(根本原因分析)」とは

RCA (Root Cause Analysis)は、不具合や事故が発生した後に、事故から原因をたどってゆき、背後にある真のシステムや人的な原因を探る方法。医療関係に適用されることが多いようです。日本国内では、RCAの現場実践手法の実施事例として「なぜなぜ分析」が広く知られており、これは「なぜ」という問い掛けを繰り返し行うことで、背景に潜む根本原因を探ってゆきます。今日、このRCAは医療、プラントはじめ様々な業界で導入が報告されており、ものづくり企業の多くの現場でも適用・評価されています。

 

2. 「RCA(根本原因分析)」:根本原因の抽出

事故や不具合が発生した場合、その直接的要因として装置の故障といった偶発的な原因が考えられます。その場合は部品の交換などを行えば良いのですが、それ以外に操作ミスなど人にまつわる要因も存在します。作業ミスのような場合は、その作業者に注意を促すということでは真の対策とはなりません。人が行う業務手順はもとより、さらにはそうした運用を行っている組織の不文律・風土、人間関係といったところまで遡った分析を行い、真の根本原因を抽出する必要があります。

 

3. 「RCA(根本原因分析)」:実践上のポイント

(1) ヒューマンエラーの考慮

人にまつわる要因といいますと、どうしても関係した特定の個人の責任を追及しがちですが、これでは真の問題解決にはなりません。人は間違いを犯すものであるという認識に立ち「上長のチェックを行うかどうかが、あいまいな手順になっていないか」「情報を伝えるタイミングは適切だったのか」など、業務ルールなど組織的な仕事の仕組みに根差す問題を抽出するよう心掛けます。「新人で仕事を熟知していなかったから」というのは状況説明をしているに過ぎず、作業教育をしていなかった、あるいは作業マニュアルの記述が不十分だったなどが原因になるでしょう。

 

(2)因果関係

根本にある原因は一つとは限りません。複数の原因があたかも木の根をはるように存在していると考え、要因の深掘りをしてゆくことになります。このような追求を進めてゆくと自ずと「結果」-「原因」といった連鎖になってゆくはずですが、下位の原因側から上位の結果に向かって、因果関係があるかどうかを確認しながら進めると矛盾のない分析ができます。

 

(3)対策の立案

対策は、個人の努力などあまり人に依存する内容にすると、守られなくなりがちです。従って「注意する」「努力する」というような精神論やあいまいな表現ではなく、仕事の仕組みや機構や構造など具体的で属人的でないものとすべきです。カバーを付けて簡単に触れないようにする、色分けで区別するというような物的な対策と共に業務トレーニングを義務付ける、などの具体的な内容にしていくことがポイントです。

 


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