CCPMとは?クリティカルパスとの違いやメリット、デメリットなど基本を解説

1. CCPMとは何か?

CCPM(Critical Chain Project Management)は、プロジェクトのいたるところに組み込まれたマージンをひとつにまとめてマージンの残量と傾向を監視する事で、効率的な管理を実現しま。これによって早めに問題点を発見し、適切な処置が打てるようになります。 国際的な支持を受けているPMBOK(Project Management Bodyof Knowledge)でも、2005年の第3版から管理方法として掲載されています。

2. CCPMの歴史と、TOCとの関係性

CCPMは、1997年にイスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラットによって提唱されました。ゴールドラットは、自身の著書である「The Goal」で制約理論を紹介しました。TOCは、システム内の制約要素を特定し、その制約要素を克服することで全体のパフォーマンスを向上させる考え方です。

CCPMは、TOCの考え方をプロジェクト管理に応用したもので、プロジェクト内の制約要素を特定し、その制約にフォーカスしてスケジュールを最適化します。CCPMでは、タスクの終了予測時間にバッファを追加することで、不確実性や遅延に対処し、プロジェクト全体の完了時間を短縮します。

3. クリティカルパス法との違い

クリティカルパス法とCCPMの主な違いは、リソースの考慮です。CCPMはより現実的なリソース管理を行う手法です。

クリティカルパス法では、各タスクの所要時間と依存関係に基づいてプロジェクトのスケジュールを計画しますが、リソースの制約や変動を考慮しません。一方、CCPMでは、リソースの制約を重視し、タスクの所要時間にバッファを追加して、リソースの変動や遅延に対処します。

4. CCPMの構成要素

(1)クリティカルパス

意味:プロジェクトの完了までに最も時間がかかる一連のタスクのことを指します。
特徴:クリティカルパス上の遅れがプロジェクト全体の遅れにつながるため、重要なタスクの管理が必要です。

(2)合流チェーン

意味:複数のパスが一つのタスクに合流する点を指します。
特徴:合流チェーンでは、各パスの進捗状況に応じて最適なリソース配分が必要です。

(3)バッファ

意味:タスクの遅延やリソースの不足に備えて設けられる余裕時間やリソースのことを指します。
特徴:バッファはプロジェクト全体のリスク管理やスケジュールの柔軟性を確保するために重要です。

5. CCPMの3つのメリット

(1)プロジェクトの完了期日をより正確に予測できる

CCPMはリソースの制約を考慮し、タスクの依存関係を最適化するため、プロジェクトの完了期日をより正確に予測することができます。

(2)プロジェクトのリソースの効率を最大化する

リソースの適切な割り当てと優先順位付けにより、プロジェクトのリソースの効率を最大化することができます。

(3)プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで把握できる

CCPMは進捗状況をリアルタイムで追跡し、問題が発生した場合には早めに対処することができます。

6. CCPMの2つのデメリット

(1)プロジェクトの複雑さ

CCPMは他のプロジェクト管理手法よりも複雑であり、導入に時間と労力がかかる場合があります。

(2)リソースの過剰な集中

プロジェクトのリソースがCritical Chainに集中しすぎると、他のプロジェクトや業務に支障をきたす可能性があります。

7. CCPMを進める手順4ステップ

(1)プロジェクトの計画立案

まずは、プロジェクトの目標やスコープを明確にし、リソースやタスクのリストを作成します。その後、各タスクの所要時間や依存関係を分析し、プロジェクトのスケジュールを作成します。

(2)リソースの最適化

次に、プロジェクトに必要なリソース(人員、機器、資材など)を適切に割り当てます。CCPMでは、リソースの過剰な使用を避け、プロジェクト全体の効率を最大化することが重要です。

(3)バッファの管理

プロジェクトのスケジュールには、タスクの遅延やリソースの制約などのリスクがあります。そのため、プロジェクト全体にスケジュールバッファやリソースバッファを設定し、リスクに備えます。また、各タスクごとに遅延バッファを設定し、プロジェクト全体の進捗を監視します。

(4)プロジェクトの実行と監視

最後に、プロジェクトを実行し、進捗を監視します。進捗やリスクの変化に応じて、スケジュールやリソースの調整を行い、プロジェクトの成功を確保します。また、定期的な報告や会議を通じて、関係者とのコミュニケーションを密にし、プロジェクト全体の透明性を確保します。

8. まとめ

プロジェクトを管理すると一言で言っても、新製品開発、システムインテグレーションや設計業務を伴う受託開発、創薬や新素材などの研究開発、航空機整備や発電プラントなどの保守整備業務、建設や建築業務など領域はあらゆる分野に渡り、様相もかなり異なります。しかしながらTOC(制約理論)のプロジェクト向けアプリケーションであるCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)は、プロジェクト業務を営んでいる企業/組織であれば基本的に適用可能であり、実際、国内外での多様なプロジェクトにおいて多くの成功事例が発表されています。

 

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