複数プロジェクトの同時進行管理:CCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)

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 プロジェクトを管理すると一言で言っても、新製品開発、システムインテグレーションや設計業務を伴う受託開発、創薬や新素材などの研究開発、航空機整備や発電プラントなどの保守整備業務、建設や建築業務など領域はあらゆる分野に渡り、様相もかなり異なります。

 しかしながらTOC(制約理論)のプロジェクト向けアプリケーションであるCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)は、プロジェクト業務を営んでいる企業/組織であれば基本的に適用可能であり、実際、国内外での多様なプロジェクトにおいて多くの成功事例が発表されています。特にマツダでの導入事例は、この6月にドイツで行われたTOC(制約理論)の年次国際カンファレンスの基調講演で発表され、世界的なインパクトを与えています。

 一方、導入をしてみたが当初期待したような大きな成果が出なかったという声を耳にする機会が少なからず存在します。この場合でも、以前よりプロジェクトの状況が分かりやすくなったなど、一定の効果は感じられていることは多いようなのですが、ゴールドラット博士の著書「クリティカルチェーン」で描かれたような、数か月という短期間で顕著な成果を出すイメージからすると、やはり物足りないと感じられるようです。

 大きな成果が上がらない要因は決して1つではありませんが、筆者は良く見受けられる要因として、導入企業/組織がマルチプロジェクト環境であるにもかかわらず、シングルプロジェクト環境と同じようにCCPMを導入している点を挙げたいと思います。

 マルチプロジェクト環境とシングルプロジェクト環境という用語について、ここでリソースを軸にした用語の定義をしておきます。各プロジェクトは独立しているもののリソースのやりくりを介して、相互のプロジェクトの進捗に影響を及ぼす場合がマルチプロジェクト環境。一方、リソースが各プロジェクトに分かれていて、プロジェクト間でのリソースのやりくりがほとんどないのがシングルプロジェクト環境です。前述の通りプロジェクトといっても様々なケースがありますが、リソースを軸に見ると2つに大別することができます。この分け方に従えば、実は世の中のプロジェクト企業/組織の大半はマルチプロジェクト環境でしょう。 

 シングルプロジェクト環境では、プロジェクト単体をどのように管理するかが焦点になります。一方、マルチプロジェクト環境では、リソースを介して相互のプロジェクトに影響を及ぼしあうため、全体をシステム(系)として捉える必要があります。

 ちなみに、現在広く知られているプロジェクト管理法をシングルプロジェクト用の手法と捉...

 プロジェクトを管理すると一言で言っても、新製品開発、システムインテグレーションや設計業務を伴う受託開発、創薬や新素材などの研究開発、航空機整備や発電プラントなどの保守整備業務、建設や建築業務など領域はあらゆる分野に渡り、様相もかなり異なります。

 しかしながらTOC(制約理論)のプロジェクト向けアプリケーションであるCCPM(クリティカルチェーンプロジェクトマネジメント)は、プロジェクト業務を営んでいる企業/組織であれば基本的に適用可能であり、実際、国内外での多様なプロジェクトにおいて多くの成功事例が発表されています。特にマツダでの導入事例は、この6月にドイツで行われたTOC(制約理論)の年次国際カンファレンスの基調講演で発表され、世界的なインパクトを与えています。

 一方、導入をしてみたが当初期待したような大きな成果が出なかったという声を耳にする機会が少なからず存在します。この場合でも、以前よりプロジェクトの状況が分かりやすくなったなど、一定の効果は感じられていることは多いようなのですが、ゴールドラット博士の著書「クリティカルチェーン」で描かれたような、数か月という短期間で顕著な成果を出すイメージからすると、やはり物足りないと感じられるようです。

 大きな成果が上がらない要因は決して1つではありませんが、筆者は良く見受けられる要因として、導入企業/組織がマルチプロジェクト環境であるにもかかわらず、シングルプロジェクト環境と同じようにCCPMを導入している点を挙げたいと思います。

 マルチプロジェクト環境とシングルプロジェクト環境という用語について、ここでリソースを軸にした用語の定義をしておきます。各プロジェクトは独立しているもののリソースのやりくりを介して、相互のプロジェクトの進捗に影響を及ぼす場合がマルチプロジェクト環境。一方、リソースが各プロジェクトに分かれていて、プロジェクト間でのリソースのやりくりがほとんどないのがシングルプロジェクト環境です。前述の通りプロジェクトといっても様々なケースがありますが、リソースを軸に見ると2つに大別することができます。この分け方に従えば、実は世の中のプロジェクト企業/組織の大半はマルチプロジェクト環境でしょう。 

 シングルプロジェクト環境では、プロジェクト単体をどのように管理するかが焦点になります。一方、マルチプロジェクト環境では、リソースを介して相互のプロジェクトに影響を及ぼしあうため、全体をシステム(系)として捉える必要があります。

 ちなみに、現在広く知られているプロジェクト管理法をシングルプロジェクト用の手法と捉えると、企業/組織全体でなかなか効果が上がらないのも頷けるのではないでしょうか。

 十中八九、マルチプロジェクト環境にある企業/組織では、自分たちの処理能力以上にプロジェクトを遂行させており、プロジェクトが目詰まりを起こし、プロジェクトの完了ペースが組織本来の能力よりも極端に遅くなっています。この場合、個別のプロジェクトに対してのみ焦点を当てても大きな改善が見られることはありません。

 顕著な改善のためには、複数のプロジェクトが開始され完了するシステム全体として、プロジェクト数を適切にコントロールし、プロジェクト間で同期させることが重要な鍵になります。

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この記事の著者

工藤 崇

『ザ・ゴール』TOCは面白かったが自社には適用できないと感じられた個別受注設計生産型(ETO)企業の皆様。ETOこそTOCで大きな成果が期待できます。

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