中国工場・指示内容の実施確認は必須の管理事項 中国企業の壁(その17)

  
  
  
 立ち上げて2年が経過した日系の中国工場での事例です。この工場は、日本人総経理を頂点として、その下に同じく日本人の副総経理、中国人の工場長、部長、課長、主任、組長という階層になっていました。
 
 この工場の問題点のひとつは、上から出された指示がきちんと主任や組長まで伝わって、指示された内容が実施されているかの確認が出来ていないことでした。
 
 総経理が管理者を集めて全員に指示を出すこともありますが、多くは総経理が工場長に指示した内容は、工場長から部長へ、部長から課長へ、課長から主任にという具合に展開されていく伝言ゲームとなっていました。
 
 指示内容の実施確認を誰もやっていなかったのです。日本人総経理も自分が指示したことは、当然のように実施されていると考えていました。
 
 この工場は立ち上げから2年赤字が続いています。赤字になっている理由は、不良の多発によるものです。不良の原因を大別すると、素材に起因するものと工程管理に起因するものがありました。
 
 工程の管理状況を調査したところ、ルールや規定は整備されていたのですが、そのルールや規定通りにやっていない作業や作業管理がいくつもありました。これが不良発生の大きな要因になっていました。この工場では、ルールや規定を整備したことで安心して、それが守られ、その通りに作業や作業管理がされていると思い、日本人も中国人管理者も誰もチェックしていませんでした。
 
 この会社は初めての中国進出で、総経理も他の...
日本人駐在員も中国での仕事は初めてでした。そんなこともあり指示すれば、それは実行されるものと考えていたようでした。
 
 指示が伝言ゲームになり、誰も確認していないというのは、日系中国工場ではありがちなパターンです。特に細かい部分を中国人に任せきりにしていると、いつの間にか違うことをやっているということは多々起きています。
 

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