レアメタルから考える、工業製品の過剰なモデルチェンジ

 
 金属材料、とくにレアメタルは、鋼材への添加や、半導体やデバイスへの利用など、産業上不可欠な材料となっています。 
 
 枯渇のリスクは聞かれないものの、国内では供給リスクや価格高騰の課題があり、リサイクル技術(都市鉱山開発)や代替材料の開発が進められています。
 
  
 出典 三和油化工業 貴金属・レアメタル回収フロー
 
 レアメタルの産業利用に着目すると、特にデバイスにおいてエネルギーの無駄遣いが多分にあることに気付きます。例えば携帯電話は2年程度で買い換えられます。
 
 内部に使用されたレアメタルは回収リサイクルされるものの、リサイクルプロセスでエネルギーが消費されます。製造でもリサイクルでもエネルギーを消費するデバイスが、今では消費財として大量循環消費されています。
 
 熾烈な産業競争の証ともいえますが、本来備える信頼性からすると無駄な短サイクルであり、最終的に残るのは資源とエネルギーの無駄遣いといえます。
 
 デバイスの消費財化は、モデルチェンジによる買い替え需要に頼る日本の社会構造の問題といえそうです。輸出の観点ではモデルチェンジよりも性能と耐久性能が外国に受けているが、国内マーケットは乖離しています。
 
 資源の少ない日本こそ悪い循環から脱却したモデルを実現することが重要といえます。リサイクル技術だけでなく産業モデルとしても中進国の手本となることで、技術的優位の源泉にもなると考えられます。
 
 
 出典 東京ボード工業 リサイクル
 
 方策として、「社会的費用対効果」を考慮した材料と製品の設計を考えてみましょう。
 
 ここで使用するのは、材料の採掘、精錬、一次加工~デバイスへの組み込み、使用期間、リサイクル率、使用期間に生み出した価値などから、資源とエネルギーをどの程度無駄なく活用しているかを可視化した「指標」です。
 
 その指標において技術課題が見直されます。
 
 例えば、レアメタルのリサイクル率改善だけではなく、リサイクルプロセスを飛躍的に低コストにできる材料開発やデ...
バイス設計(環境配慮設計)などに、より目が向くようになります。
 
 
 出典 SlidePlayer 環境配慮設計の推進 環境配慮設計
 
 社会的費用対効果の考え方はまだあまり消費者に普及していませんが、メーカーから旗振りすることで、工業製品への向き合い方を変えられる可能性はあると考えます。社会をよくする購買志向やブランディングは消費財で普及しています。工業製品においても、過剰なモデルチェンジや消費循環の緩和に向かうことを期待します。
 

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