【物流BCPについて考える 連載目次】
私たちが物流BCPを考える際には、まず自然災害を想定することが第一かもしれません。海外の国々と比較すると日本は自然災害が多い方ではないでしょうか。そのため自然災害を考慮したBCPを考えていくことが最もふさわしいと考えられそうです。では自然災害の中でも何を想定していくべきでしょうか。やはりそれは「地震」であると考えるべきでしょう。
いろいろなリスクを想定することに越したことはありませんが、特に一つを決定して取り組む方が力の分散もなく集中してできそうです。
もちろん、自らの事業において何ら手の打ちようがない極端に大きな災害は除外して考えてもよいでしょう。BCPはどのようなリスクが現実化しやすいかを明らかにしてからスタートするのではなく、どのようなリスクが現実化したとしても重要業務を継続していく、という目的意識をもって策定されるものであります。
◆ 事業継続と同時に考慮すべき重要事項
災害時に私たち企業が事業継続と同時に考慮すべき重要事項には何があるでしょうか。実は私たちは以下の3点を考えていかねばならないと言えます。
第一に「生命の安全確保」です。会社の社員や役員、関連会社、派遣社員、協力会社など、業務に携わる人々の生命の安全を確保することが重要であることは言うまでもありません。
第二に「二次災害の防止」です。例えば地震や水害などの場合、火災の防止、建築物・構築物の周辺への倒壊防止、薬液の漏洩防止など、周辺地域の安全確保の観点から二次災害防止のための取り組みが必要になります。
第三に「地域貢献・地域との共生」です。地域貢献には、援助金、敷地の提供、物資の提供など...
が一般的でしょうが、このほかにも技術者の派遣、ボランティア活動など企業の特色を活かしたサポートが望まれます。
先の東日本大震災時にも民間の物流会社が支援物資の在庫管理や入出庫管理などで地域貢献したことは記憶に新しいところであります。こういった活動は事業継続計画とともに対応が可能となるように配慮していきたいものです。
次回に続きます。