1.客の慰安旅行に行けないので作成した伴奏テープが世界に広まったカラオケの創始者 井上大祐
スナックを経営していた井上大祐さんに困った問題が起きました。常連客の慰安旅行に伴奏を頼まれたのですが、都合が合いません。そこで一計を案じた井上さんは、常連客のキーや音程に会わせた伴奏をテープに録音して渡したところ、これが大好評だったのです。
そこで井上さんはカートリッジテープを使った世界最初のカラオケ機を開発して販売します。彼が起こした会社のレンタル店は50万軒を越えるまでになりました。しかしその後レーザーディスクに押され、ジリ貧になります。彼は特許をとらなかったので、権利が発生しなかったのです。もし特許があれば数百億円にもなっただろうといわれます。
1999年アメリカの雑誌「タイム」は「20世紀で最も影響力のあったアジアの20人」に彼を選んでいます。日本もこのように創造者を大切にする国になりたいものです。
2.ヘリコプターの風で目にほこりが入った時に害虫を駆除をする方法を思いついた発明家 中松義郎
ユニークな発明家として有名な中松義郎博士の別名は「日本のエジソン」であり、これまでの発明数が2000件を優に超えるといいます。
この中松博士がある商社に勤めていたころ、ヘリコプターの販売を担当したことがあります。ヘリポートで、ヘリコプターの離陸を見守っていたところ、プロペラの回転とともに激しい風が起き、砂塵とともに中松博士の目に吹きつけました。まぶたの上にほこりがついたのを感じた中松博士は、ほこりをぬぐいながら「風が下からわき上がった」ことに着目し、ヘリコプターが起こす「下からの風」を利用する...
このアイデアは、ヘリコプターを使った害虫駆除機に結実し、ヘリコプターの売れ行きがいちだんとアップしたそうです。飛行機による農薬散布では農作物の葉の表面に農薬が届くだけですが、ヘリコプターが起こす風を利用すれば、葉の裏まで農薬が届くという考え方です。
出典:「ひらめきの法則」 髙橋誠著(日経ビジネス人文庫)