中国企業と4M変動管理

 

 「4M管理」製造業に携わる方ならどなたでもご存知の言葉です。言葉を足せば「4M変動管理」という言い方になります。つまり4M管理とは、変化点管理に他なりません。4つのMの視点で変化点を管理するということです。

 日本企業では自社はもちろんのことですが、取引先に対してこの4M管理の実施を当たり前のように要求しています。自社はもちろんと書きましたが、場合によっては「自社のことは棚に置いておいて」という会社もあります。

 多くの日系企業が中国の取引先に対しても4M管理の実施を要求しています。問題は「中国企業が4M管理に関する要求をどれくらい本気で受け止めているか」です。

 なぜ変化点を管理するか? 

 それは変化点が不良発生の原因となる可能性が高いからです。製造業では「通常生産をしている時に比べ変化点があった場合の不良率は高い」と言われています。そうならないために変化点を管理する訳です。

 要求内容としては、「4Mに大きな変更がある場合、事前に報告をすること、または事前に承認を取ること」としています。日本企業でも要求事項のすべてを忠実に守っているところはないと思いますが、重大な項目については報告や事前承認のプロセスをきちんと守っているというのが実状でしょう。

 日本企業が相手であれば何も言わずとも当たり前に理解してくれる内容かもしれませんが、製造業の歴史の浅い中国では4M管理の重要性というものを理解している企業・人は、まだまだ少ないというのがわたしの経験から得た感覚です。

 中国人に「4M管理が重要」という意識が低いので、いくら書面で取交してもこちらの確認を取らずに変更する事例は後を絶ちません。部品の材質を勝手に変えられたという経験をお持ちの方もいるでしょう。日本ではあり得ないことですが、中国では依然として起きています。

 取引を開始するときに十分に説明することは当然必要です。ですが、それだけでは不十分です。まじめな日本企業でもすべてを忠実に守れないような事細かな要求は無意味です。絶対に対応が必要な項目に絞って事前の報告や承認の要求をすることが...

ポイントです。

 中国企業でも理由もなく無節操に変更をすることはないですね。ただし、その理由が日本では通用しないものなのです。例えば、生産するときに正規の部材がなかったので代替品を使ったとか。場合によっては、よかれと思って材質を変えることもあります。日本企業が指定した材質よりも、別の材質の方が特性がよくなるとか、コストが下がるなど。

 変更に至る理由を確かめ、そういう事態にならないように先方の状況を常に把握するようにしたいものです。

 

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