◆ 独自ノウハウで地位向上
サプライチェーン(SC)の効率化を最大限にするためには「ものづくりの場」や「物流倉庫の場」についても考慮する必要があります。
この「場所」の問題ですが、一番頭に浮かぶのは物流の効率化でしょう。物流の原理原則として「運ばない」ということを考える必要があるのです。消費地でものづくりを行うことは鉄則です。今や中小メーカーであっても海外進出する時代です。顧客の近くで生産することでSCの効率化を担うことになるのです。
このような現地化のニーズに応えるべく、現地物流について的確なアドバイスができるとよいと思います。まさに頼られる物流会社ということになり、物流の地位向上につながることは間違いないでしょう。また、消費地でものづくりを行う原理原則以外に「関税」の問題も考慮する必要があるのではないでしょうか。FTA(自由貿易協定)などにより、関税がかからない国間で貿易するように最初から考えていくということです。
物流会社の中には国際貿易に詳しいところもありますので、この点でのアドバイスもまた、顧客にとってのバリュー(価値)となります。当然、物流の地位向上に寄与することは言うまでもありません。どこで作りどこへ送ることがベストなのか、物流の視点、関税の視点、その他さまざまな要因を組み合わせてアドバイスできるとベストです。大企業であれば当然、社内で検討されるようなポイントが中小企業では見落とされがちです。その隙間(すきま)を埋められるようなアクションを取ることができる物流事業者は重宝がられます。
以上のような活動は実作業ではなく無形のノウハウです。今必要とされているのは、このようなスペシャルなノウハウなのです。「実物流業務では差別化できない」というお話をさせていただきました。つまり、どこの会社でもできる仕事は価格競争になるということで、顧客からバリューとして感じてもらえないということです。そこで「他社が容易にまねできない」ノウハウを顧客にそれなりの価格で提供できれば、物流も見直される余地があると考...
このような状況になって初めて「物流の地位向上」を図ることができます。「物流の認知度を上げる」、「物流の地位を向上する」、「物流の対価を適正化する」、これらはすべて「物流提供側」で実施すべきアイテムなのです。「国がこうしてくれれば…」、「荷主がこう変わってくれれば…」など、他力本願の姿勢ではいつまでたっても物流の地位向上は夢のまた夢です。アクションすべきは物流に携わる一人ひとりなのです。