非効率な物流自動化:物流現状把握の重要性(その5)

 

◆ 非効率な物流自動化

 ムダな投資が実際に発生している事例を紹介します。ある工場では工程間運搬を効率化するために無人運搬車を導入していました。運搬距離は15m程度です。この無人運搬車の上にパレットに載せられた部品を積む必要があるのですがその作業は人がフォークリフトで行っていました。わずか15mですが無人運搬車で運ぶために人がわざわざフォークリフトを使って荷物を載せ降ろししていたのです。

 明らかにフォークリフトで運んだ方が効率も良ければコストも小さいと思われます。しかしこの工場では無人運搬車を投資してしまった手前それを使わざるを得ない状況にあったものと思われます。このようなムダな投資が実際に発生しているのです。

 もう一つの事例です。ある倉庫で自動仕分け機を導入していました。作業者が投入した段ボール箱についているバーコードを読み取って指定レーンに自動仕分けを行う機械です。これも見ていてどうかと思ってしまいました。人が投入するのであればその際に仕分けてしまっても問題は無いからです。

 しかしこの仕分け機を動かして仕分けを行い、レーンで引っ掛かりがあれば人が修正し、仕分け終わったものを回収して運搬しているのです。倉庫によってはレーンの出口に作業者が張り付いている場合もあるのです。これも機械に人が使われてしまっている例だと思います。

 

 物流現状把握時にはこういった事例が自社内で発生していないかどうかを確認しましょう。場合によっては自動化設備を停止するケースも出てくるかもしれません。非効率な物流自動化だからです。

 物流自動化では物流工程の一部のような部分的な投資はこのように非効率を招く可能性があります。ということで全体の効率化に寄与するための設計を考えるとともに、できるだけ周辺で人手による作業が発生しないように注意する必要があることを認識しておきましょう。

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に視点を変えて「容器」について見ていきましょう。容器を見ることでその会社の物流の実力が見えてくることがあります。容器は一般的に「通箱」として製品を入れて発送した後に回収し、また製品を入れて発送を繰り返します。

 この容器ですが何度も使っている内に劣化や汚れが発生してきます。これはその箱の中に入れる製品品質にも影響を与えてしまうのです。

 

 次回に続きます。

 

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