物流業務の内製化とアウトソース(その2)

 

◆物流管理と物流改善

メーカーでは製造や生産管理に詳しい人はいるものの、物流管理に詳しい人は少ないと思います。そもそも物流人財を育成していないのです。このような状況下、物流管理業務をアウトソースしたいと考える会社もあることと思います。

 

しかし前回もお話させていただいた通り、自社の物流を一番知っているのは自社の社員であることは間違いありません。そのため、物流企画業務を物流事業者に丸投げしても、満足いく回答はまず100%来ないと考えた方がよいでしょう。

 

物流企画業務は社内で行うか、コンサルタントを入れて一緒に進めるかのどちらかになるでしょう。では物流管理業務はどうでしょうか。物流管理はある程度物流事業者に委託しても可能な業務です。たとえば毎月の物流のパフォーマンスを見ていく業務などはアウトソースが可能です。

 

皆さんもお聞きになったことがあるかもしれませんが、「3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)」という業種があります。この意味するところは、荷主でも物流事業者でもない第三者(サード・パーティ)が、荷主の物流業務を包括的に請け負うとともに、荷主に物流改革を提案する業務ということになります。

 

もしこの定義に当てはめたとしたら、我が国には3PL事業者は存在しないことになります。物流作業を請け負うことができても、物流改革を提案できる業者はいないからです。一方で物流作業を請け負いつつ、その結果について報告を行うぐらいの業務ならできる業者は存在します。

 

そこで、物流作業の結果を認識し、課題などを抽出してその改善を一緒に行うタイプのアウトソースはお勧めです。物流人財がいない会社では人が育つまでの間、この方式をとることはよいと思います。実はこのタイプのアウトソースは受注側にもメリットがあるのです。それは荷主から依頼される物流管理を実際に行いつつ、それをパッケージ化して商品にできるからです。それと同時に物流事業者側の人財育成にもつながるのです。一緒に改善を実施していくことで、改善力も磨かれます。

 

今まであまり物流改善に取り組んでこなかった物流事業者にとって、お金をもらいながら人財育成と物流商品開発ができるのですから、こんなにおいしいアイテムはありません。

 

次回に続きます。

◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』

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