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今回は、QFD(Quality Function Deployment),TRIZ,タグチメソッドの融合について述べます.
この3つの技法の融合効果の可能性についてはずいぶん前に提案されていたことで新しいことではありませんが,その後現在に至るまでこの領域の研究や実践が進んでないのが実態であり,この3技法以外も含めたトータルな技術開発プロセスの構築が大きな課題であると認識しています.その成果の一つが「技術開発プロセスを設計するプラットフォームT7」です.ここでは,T7の応用の方向性の一つとして,この3技法の新たな融合の可能性について述べます.
従来のQFD,TRIZ,タグチメソッドの融合は次のステップをイメージしていました.
- Step1 QFDでVOCを選定
- S...
このプロセスではTRIZの次にタグチメソッド実施となっていますが,その前提にはある程度の技術蓄積があるということがあると思うのです.TRIZ活用の出発点で,問題の本質を見える化するために技術的な矛盾を定義しますが,技術的な矛盾が定義できる状態にあるということは,その技術に関してある程度以上にメカニズムを把握していることが前提となるかと思います.別の言い方をすると,CS-T法における現象説明因子と目的機能の因果関係が把握できているということです.これができるのは既存製品の問題点を解決するケースであり,問題解決では上に示した3つのStepが有効になるのではないかと思うのです.
新規技術の技術開発の初期段階では,目的機能を実現する下位機能が十分に考案されてない,あるいは重要な下位機能が特定されていないケースがほとんどです.この段階での活動の質が技術開発の成功率を決めるのですが,この段階で問題の本質を誤って定義してしまうと技術開発の方向性を誤ってしまうことになります.それを避けるためにも最初にCS-T法を実施し,性能とロバスト性の改善効果のメカニズムを把握し,そこから現象説明因子領域で矛盾を定義する.その後にTRIZを実施することで,新たなシステム考案の的確性が高まると思うのです.ニコン時代のLIMDOW-MOの技術開発やリコーでのVCSELレーザー開発での経験からもこのように思うのです.
◆関連解説記事:品質工学による技術開発(その23)CS-T法とベイズ最適化の融合
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【出典】QECompass HPより、筆者のご承諾により編集して掲載
◆[エキスパート会員インタビュー記事] 品質工学の魅力とその創造性への影響(細川 哲夫 氏)