前回の事例、その2に続いて解説します。新製品が立ち上がる時など、人の習熟が重要であることは言うまでもありません。新製品ですからすべての担当者が初めての仕事になるからです。新製品立ち上げに向けた人材育成について、きちんと計画を作成し実行していくことが望まれます。まず、その製品についてどのような仕事が発生するのかについて整理することが重要です。下記が、その例です。
◆ その製品の特性は?
◆ 品質上特に注意すべき点は?
◆ 梱包仕様をどのようにするのか?
◆ 保管における条件はあるのか?
このようなさまざまな『 物流条件 』について、整理していきます。そして条件に見合った物流作業の仕方についても検討していきます。そうすると、実作業を行う際に「作業上の留意点」が明確になってきます。その点についての事前勉強会を開くという方法もあると思います。これは会社の会議室の中で行うことで問題はありません。
一方で物流倉庫の中に『 物流作業訓練道場 』を設け、そこで実作業のトレーニングを実施することも考えられます。作業訓練道場は工場では一般的ですが、物流倉庫ではあまりなじみが無いかもしれません。新人作業者が入ってきた時に、基礎的な作業については実際に現物を目の前にして訓練していくことが望ましいことは間違いありません。
作業訓練道場では、ハンディーターミナルの操作方法、段ボール梱包の訓練、簡単な組立作業訓練、フォークリフトによる荷扱いなど、会議室の中ではやりづらい実作業について訓練します。訓練結果については作業者ごと、作業ごとにその習熟度を把握し、それを訓練道場の壁に掲示しておきます。作業習熟の見える化を図ることで「人」について何が足りているのか、何が不足しているのかが瞬時に把握できることになります。
特に、新製品立ち上げ時には計画的に「同一作業を複数名が作業できる」環境を作り上げていきましょう。このような環境を整備しておくことで、自社が安心...
して仕事を進められることは当然として、顧客もその状況を把握し安心することにつながるのです。
もし物流事業者が顧客の荷物について作業を行うのであれば、上記のような取り組みは顧客から言われる前に実施しましょう。そうすることで顧客の信頼を得ることにつながるからです。 顧客によっては、発注先である物流事業者の準備状況を評価することがあります。評価があるから慌てて対応するのではなく、計画的に自ら取り組んでいく体制を整備して下さい。