見える化で物流作業の効率向上 (その2)

1. 物流業務の計画と実績の掲示は必須

 「今日の5時までにすべてを終わらせればよいことになっています」という表現はピッキング現場だけではなく、梱包場や出荷準備作業などあらゆる物流現場で聞く回答です。この回答は朝聞いても、夕方聞いても同じように返ってくるのです。この回答は仕事が多かろうが少なかろうが、午後5時には終了できればよい、ということを示しています。つまりその間のタイムマネジメントはできていないのです。仕事が多ければ必死に体を動かし、少なければゆったりとしたスピードで仕事をこなすのです。いかがでしょうか。多くの物流現場がこの状態になっており、意識ある現場監督者やセンター長だけがこの状態を何とかしたい、と気づいているのです。
 
 望ましい見える化の方法はデジタル表示で現時点の「計画数」と「実績数」が現場に掲示されることでしょう。時々刻々とこの数字が更新されていくので、それが作業者のペースメーカーになるからです。作業者に仕事のペースを任せてはならないのです。本来なら5分で終わる仕事が15分かかってしまうからです。作業者は手待ち時間があると恥ずかしいという意識を持っています。そのため仕事が終わりそうになるとわざとゆっくりとしたスピードにペースを落とすのです。デジタル表示までいかずとも、本日のピッキング件数や梱包箱数をタイムチャートにして「今」いくつ終了していなければならないかを明記して現場に貼り出すことに取り組んでみましょう。
 
 15分刻み程度のスケールをつくり、その中に目標数量を入れていきます、たとえば10時までは120件、15時までに260件というように累計値で示すのです。スケールは作業者個人単位でもよいでしょうし、ピッキングライン単位でもよいと思います。最も現場に合ったやり方にすればよいのです。この計画に対して各作業者が行った結果を実績として監督者が記入していくようにします。常に作業者はこの数字を見ながら仕事をしていくようにするのです
 

2. 物流現場を管理状態に置く

 物流現場の見える化の大きな目的は「物流現場を管理状態におくこと」です。物流現場を管理状態におくとは現場の目標に合わせて仕事がなされ、計画と実績の対比ができ、アクションがとれるようになっていることを指します。前回の仕事の「計画」と「実績」がわかるということは、物流現場が管理状態にあるということです。それがわからなければ残念ながら管理状態にはないといえるのです。この「計画」と「実績」はあらゆる機能で必要になります。たとえば皆さんの職場での物流品質について管理状態にあるかどうかを考えてみて下さい。
 
 毎月構内不良、つまり客先には流出せずに構内で食い止めた不良件数を5件としてみましょう。物流現場には月初から月末に向けて5件をプロットした「物流品質管理グラフ」を掲示します。そして毎日発生した不良件数を実績として記入していきます。記入の都度、5件を超えて発生させてはならないという意識が働きますので、実際の作業にも影響します。改善件数も同様にグラフ化します。毎月30件の改善件数を目標とした場合...
、そのグラフを作って掲示します。同時に実績改善件数を記入していきます。月末に向けて進捗が芳しくない場合には監督者から作業者に対して発破をかけなければなりません。
 
 これらのグラフは物流現場の管理ボードに貼り出します。そしてすべての従業員が見られるようにすることがポイントです。計画通りに進んでいなければ、早めにアクションを取ってリカバーすることが重要であることは言うまでもありません。しかし管理グラフがなければ今の状況が良いのか悪いのかさえ判断できません。つまり管理状態にないということです。まずは必要項目を洗い出し、各項目について「計画」と「実績」を記入できるツールを作成することです。
 
 次回は、見える化とマネジメントについて解説します。
 

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