物流倉庫改善に取り組もう (その1)
2017-06-09
皆さんは普段使っている物流倉庫のレイアウトを改善したことはありますでしょうか。物流はレイアウトに大きく左右される特徴があります。工程と工程が離れたレイアウト設計をすると永遠にその間の運搬が発生してしまうのはその一つの例だと言えます。ではレイアウトをどのように改善していったらよいでしょうか。その準備として工程分析を実施してみると良いでしょう。
工程分析の結果、運搬や在庫の停滞が見える化されます。今まであまり気にしていなかったような運搬や在庫がたちまち気になりだします。つまり今の隠れた問題点をいったん表面化して認識することが今後のレイアウト改善を行う際に重要になるということです。レイアウト設定時には良かった物の流れが、時代が経つとともに非効率になることもあります。物流量も当時と今とでは大きく異なることが考えられます。
そういった変化を放置していると何となく効率が悪いな、という感覚で仕事を続けることになります。やはり気づいた時に修正するという習慣が必要です。では早速倉庫レイアウトに必要な項目を挙げながら改善検討していきましょう。倉庫の建屋外にはトラックのポートや待機場が必要になります。トラックが物流倉庫に積み込みに行くと長時間待たされるという問題が発生しています。この解消のためにはトラックダイヤを定めるとともに荷揃えを行い、トラック荷役時間の低減が必要になります。
しかしこれでも自分の積み込み時間よりは前に到着することになるでしょうから、一定のトラック待機場が必要になるのです。トラックポートの数も適正化しましょう。ある程度トラックが平準化される前提でポートの適正数を算出します。その数を物流倉庫に設置しなければなりません。またトラックポートは屋根の下に設置し、雨天時荷役への配慮を行います。トラックポートには1つに1台ずつフォークリフトを配置します。その時のフォークリフト置場をレイアウトの中に設ける必要があります。もちろん、フォークリフトの燃料置場も忘れずに確保しましょう。バッテリーフォークの場合には充電場所が必要になります。
物流倉庫の荷受場、出荷場の改善は倉庫改善で真っ先に取り組むべき場所ではないでしょうか。この場所でものが詰まると清々とした物流を構築することはできません。この2つの場所で共通するキーワードは「わかりやすい」です。なぜならトラックドライバーや納入業者など外部の人たちが来て仕事をする場所でもあるからです。外部の人たちが初めて来たときに迷わずに仕事ができるエリアづくりに努めましょう。
出荷場であれば、トラックドライバーが積むべき荷物がすぐわかるようにしておくことです。そのためには「トラック単位の荷揃え」を行い、「納品書を準備」し、わかりやすい「表示」を設置しておくことが望ましい姿です。荷受場であっても同様です。どこに荷降ろしをしたらよいのかが瞬時に判断できるように大きな表示を付けておくようにしましょう。
そして2つの場所でともに改善しなければならないのがトラックからの距離でしょう。荷役時に長距離運搬が求められるとそれだけ時間がかかり、トラックの滞留時間を延ばしてしまいます。荷降ろし時にあまりに多くの分散されたエリアに荷を仕分けて置いていくこともトラック滞留時間を延長させてしまいます。
ポイントは「第三者の立場」で倉庫を見て判断することです。その意味で効果的だと思われるのは社内の、普段あまり現場と接点のない部署の人の意見を聞いてみるこ...
とです。その人たちは倉庫という物流現場にとってはどちらかというと第三者に近いため、外部の人の意見に近いものが得られる可能性があります。
荷受場、出荷場でもう一つ気を配らなければならない場所があります。それは通箱(容器)とパレットの置場です。これらは納入業者に返却する必要があります。またこれらは汎用的に活用が可能であるため、紛失防止のための管理も必要になります。
時々特定の会社の名前が入ったパレットをその会社とまったく関係のない場所で見かけることがあります。これは本来のルートから外れ、流出してしまった可能性があると考えられます。多くの会社でパレットや容器の流出(紛失)に悩んでいるようです。しかしこれは会社における管理の仕方に問題があると考えられます。
次回は、物流倉庫改善に取り組もう(その2)ロケーション管理を解説します。