工場物流の誤解とは (その2)

 前回のその1に続いて解説します。
 

3. 構内物流が行うべき一工夫

 構内物流が生産工程と一体であることが理解できれば、物流のあり方につていての認識も変わってくるものと思います。前回ご紹介した「供給作業」はあくまでも生産工程の作業者の「部品取り」行為の延長線上にあるわけです。ですから、今すぐに部品が取り出せる状態になっていなければなりません。要は手を伸ばせば取れる状態になっている必要があります。生産工程作業者は工場の付加価値を生み出す担当者ですから、「取る」以外の余分な作業をさせてはなりません。例えば次のような動作が発生していたとしたらそれを改める必要があるのです。
 
・ 部品を取るときの判断や迷い
・ 部品取りに伴う歩行
・ 部品取りに伴う余分な動作(振り向き、伸び上がり、部品の反転など)
・ 部品以外のものに触れること(空容器処理や緩衝材の除去など)
 
 こういった動作は生産効率を低下させるとともに、判断や迷いが誤組付けなどの品質不良を招く可能性があります。構内物流は次工程である生産工程は「お客様」ですから、これら動作が発生しないような供給作業を行わなければなりません。例えば次のような一工夫が必要になるかもしれません。
 
・ 納入荷姿から必要数だけ部品を取り出して「裸で」供給
・ その工程で使う1台分のキットにして供給
・ 作業者の前面からの供給
 
 サービス性が低い工場では輸送用荷姿のままラインに投入したり、今使用しない部品までもラインサイドに放置したりしていますが、これは感心できません。構内物流は生産工程の一部ですから、生産効率向上と品質向上のために何をしなければならないかを常に考えていなければなりません。さらに生産を秩序あるものにするために貢献できることがあります。それは物流作業を通した生産コントロールです。よく生産ペースを生産作業者に任せきりにした結果、生産計画を無視した生産が行われているケースがあります。ではどのようにして構内物流は生産コントロールをしていったらよいのでしょうか。
 

4. 構内物流による生産コントロール

 工場において構内物流が生産をコントロールするなど思いもよらない、という方が大半でなないでしょうか。従来から物流は受け身の仕事ばかりを行う傾向にあります。運んでくれと言われれば運ぶ、倉庫に保管しておいてと言われれば保管する。このような他からの指示に基づいて仕事をしてきたのが物流ではないでしょうか。しかし物流は他からの依頼を受けて動くだけの存在ではありません。むしろ工場では生産コントロールを行うという、指示する側に立っていると考えるべきです。構内物流の仕事はズバリ「生産管理」だからです。ではどのようにして生産コントロールを行っていったらよいのでしょうか。その最たるものが「供給作業」を通して行う生産コントロールです。工場の生産にはそのための部品や資材が必要です。物流はそれらの供給を行いますが、生産コントロールを行うに際して必要な要件が2つあります。
 
 1つは必要な部品などを必要な数量だけ生産工程に届けることです。多すぎても少なすぎてもだめです。生産計画が100台だったら100台分の部品を届けるのです。これによって生産工程は生産計画通りの台数を生産することになります。ある意味で当たり前のことですがこれが守ら...
れていない工場はたくさん存在します。もし物流が120台分の部品を届けたとしたらどうでしょうか。場合によって生産工程は120台生産してしまうかもしれません。これは「つくりすぎのムダ」になりますよね。それを物流が物理的に防止しているので生産コントロールができていることにもなるのです。
 
 もう1つは必要なタイミングで供給することです。できれば生産計画に基づき生産工程が生産に着手する直前に届けることです。なぜならあまり早く届けすぎると生産工程は早期着手し、完成品在庫が一時的に膨れ上がる可能背があるからです。このように構内物流は自らの仕事を通して生産コントロールを行うことになります。では他の方法で生産コントロールは可能でしょうか。実はもっと簡単な方法もあります。それにつきましては次回、解説します。
 

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