物流当事者間のコミュニケーション
2017-10-26
この世の中ほとんどの産業に物流は付きものです。最近では個人間での取引も発生しており、そこにも物流が付いて回ります。つまり物流を提供する側、物流サービスを受ける側のどちらかに多くの人が関わっているということになります。ものがある限り物流は発生し、物流は無くならないと考えるべきでしょう。この物流をいかに効率的に行っていくかが物流当事者にとって重要になってくるということです。
この当事者間のコミュニケーションが物流効率化に影響を与えていることはご存知でしょうか。倉庫で入出庫業務を委託している側と受託している側とのコミュニケーションを例にとって考えてみましょう。
当事者は委託業務を始める前に契約を締結します。その時にどのような業務が対象なのか、その業務をいくらの対価で実施するのかなど細かい条件を詰めていきます。業務をスタートした後、委託側が追加業務を頼んだとします。これは受託側にとって新たなコストが発生しますから慎重に検討し、新たに対価を決めて契約書を書き直すことが必要です。
しかし、往々にして現場の担当者が自らの判断で安請け合いしてしまうことがあります。これは顧客から頼まれたから断れないとか簡単な仕事なので契約書を変更するまでもないと考えてのことかもしれません。お互いのコミュニケーションがうまく取れていれば、このようなミスコミュニケーションは発生しないのではないでしょうか。当事者間の取引については窓口担当者を決め、その間で常にコミュニケーションが取れていることが望ましい姿です。
物流事業者が荷主会社に仕事を取りに行く時もコミュニケーションが重要になってきます。何度も荷主会社を訪問し、いろいろな情報を得るためにはどうしても必要なのです。人によっては、顧客訪問や会話が苦手だという人もいるでしょう。しかし、ビジネス取引は人と人の間で行われますからコミュニケーションはどうしても必要になります。そこで相手から重要な情報を引き出すためのコミュニケーションテクニックも身につけておきたいものです。
コミュニケーションで大変重要となってくるのがお客様とのコミュニケーションです。なぜならお客様の求めている物流を提供することこそが、私たちの使命だからなのです。当然のことながら、私たちはお客様が欲しているものを知る努力が必要になります。そこで、コミュニケーションが必要になってくるわけです。物流事業者であればお客様のニーズを把握しやすい立場にあるポジションがあります。それはドライバーです。
ドライバーはお客様の敷地内に堂々と入っていくことができます。このポジションを有効に活用しお客様の声を拾っていくことが重要です。一般的に物流事業者の営業担当者がお客様の所に出向いて行って話をする中で情報を集めようとします。これはこれで重要です。しかし、この時には相手も構えていますから、どこまで本音を話してくれるかどうかはわかりません。
そこでドライバーがお客様の現場担当者と親しくなって本音で語り合えるような関係づくりを行っていくとよいと思います。宅配の場合もドライバーがお客様の所に直接伺う特別な立場にいるわけです。お客様は見ていないようでドライバーのことを見ていますので、自社側の評価もされていると考えるべきでしょう。
ものの届け方について「もっとこう...
して欲しい」、「こういったことはやめて欲しい」といった意見を集約するとよいでしょう。さらに、相手先が企業の場合には相手の物流現場の方と親しくなることで思わぬ情報を入手することが可能になると思われます。物流事業者の方と話をしていると見事に顧客の秘匿情報を入手されていることがわかります。一方で何の特別な情報を得られない方もいらっしゃいます。この差はお客様側の誰とつながれば情報を得られるかどうかの違いだと思います。キーマンは必ずしも上層部の方たちとは言えません。
その会社の誰をおさえておけばよいのか、そして、できるだけ会社の生情報を得るために現場側のつながりもつけておくとよいでしょう。コミュニケーションにも技術があるのです。ぜひ工夫しながら、そして、まめにコミュニケーションをとり物流の水準を向上させていきましょう。