IE的な思想とは 物流でIEを駆使する(その1)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ なぜ物流はIEを使わないのか

 なぜかIE(Industrial Engineering )というと尻込みしてしまう物流会社が多いような気がしてなりません。その一因にIEというものを難しく伝えている節があるのではないでしょうか。IEを物流で活用しようという話は30年以上前から言われ続けています。しかしその浸透度はそれほどでもないようです。

 しかし実際に改善を行っている会社では知らず知らずにIE的な思想で行っているところがあります。これをもっと積極的に取り入れていくことで、改善の成果が大幅に向上するものと思われます。

 日本IE協会の会員企業はほとんどが製造会社だそうです。製造会社は昔から改善を繰り返し、IE手法をほぼ完璧に習得しています。その結果として世界でも一番の生産性と品質を誇っているのです。

 IE手法は徐々にではありますがいろいろな業種で取り込まれています。製造業だけの手法であるという考え方は間違いです。あらゆる業種で使うことができることを知るべきです。サービス産業や病院、飲食店などさまざまな業種でIE手法を使い始めているのです。

 こういった産業に比べるとまだ物流は製造に近く、最もIEを使える業種だと思います。にも関わらず、なかなかそれを使う傾向にありません。

 物流業界には自分たちの仕事は特殊である、という意識があります。

  • 変動が多い
  • お客様しだいで仕事が振られる
  • 人材がいない

 だから物流にはIEが合わないのだ、といった誤解があるのです。

 しかし上記のようなことはどの仕事にもあることで、物流だけが特殊だということはあり得ないのです。IEが使えない理由にはなり得ません。こういった意識が海外の物流とはちょっと違うのかもしれません。アメリカのロジスティクス思考には「いかに前線にものを届ければもっとも効率が良くなるか」と...

サプライチェーンマネジメント

◆ なぜ物流はIEを使わないのか

 なぜかIE(Industrial Engineering )というと尻込みしてしまう物流会社が多いような気がしてなりません。その一因にIEというものを難しく伝えている節があるのではないでしょうか。IEを物流で活用しようという話は30年以上前から言われ続けています。しかしその浸透度はそれほどでもないようです。

 しかし実際に改善を行っている会社では知らず知らずにIE的な思想で行っているところがあります。これをもっと積極的に取り入れていくことで、改善の成果が大幅に向上するものと思われます。

 日本IE協会の会員企業はほとんどが製造会社だそうです。製造会社は昔から改善を繰り返し、IE手法をほぼ完璧に習得しています。その結果として世界でも一番の生産性と品質を誇っているのです。

 IE手法は徐々にではありますがいろいろな業種で取り込まれています。製造業だけの手法であるという考え方は間違いです。あらゆる業種で使うことができることを知るべきです。サービス産業や病院、飲食店などさまざまな業種でIE手法を使い始めているのです。

 こういった産業に比べるとまだ物流は製造に近く、最もIEを使える業種だと思います。にも関わらず、なかなかそれを使う傾向にありません。

 物流業界には自分たちの仕事は特殊である、という意識があります。

  • 変動が多い
  • お客様しだいで仕事が振られる
  • 人材がいない

 だから物流にはIEが合わないのだ、といった誤解があるのです。

 しかし上記のようなことはどの仕事にもあることで、物流だけが特殊だということはあり得ないのです。IEが使えない理由にはなり得ません。こういった意識が海外の物流とはちょっと違うのかもしれません。アメリカのロジスティクス思考には「いかに前線にものを届ければもっとも効率が良くなるか」という意識があります。

 そのためにIEを上手に使って効率の良い方法を考えていく必要があるのです。ツールとしてのIEが活用される素地があるといえそうです。

 IEに関して間違った認識が物流に植え込まれている可能性は否定できません。例えばIEとは「ストップウオッチを持って測定を行うことだ」という声をよく聞くのですが、これはIE自体を正しく認識していないことの表れであると思われます。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンマネジメントにおけるベンチマーキング

 ベンチマーキングは、米国において1980年代に日本の製造業を研究するプロセスのなかでモデル化された手法です。  日本の多くの会社は自社と同じ成功事例に...

 ベンチマーキングは、米国において1980年代に日本の製造業を研究するプロセスのなかでモデル化された手法です。  日本の多くの会社は自社と同じ成功事例に...


サプライチェーンのモデル化

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...


物流効率化の決め手、荷姿モジュール 物流改善ネタ出し講座 (その5)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
コーチングの活用とは:物流管理者の育て方(その5)

  ◆ コーチングの活用 前回、解説しましたが、コーチングのスキルの一つ目は「聞く」スキル。二つ目のスキルは「質問」でした。今回は、スキルの三つ目...

  ◆ コーチングの活用 前回、解説しましたが、コーチングのスキルの一つ目は「聞く」スキル。二つ目のスキルは「質問」でした。今回は、スキルの三つ目...


活動のフィールドを広げる:物流の意味するところ(その3)

  ◆活動のフィールドを広げる 物流業務はすべて付加価値を与えるものであるとは言い切れません。むしろ物流はコストだという意識の方が大きいと思われま...

  ◆活動のフィールドを広げる 物流業務はすべて付加価値を与えるものであるとは言い切れません。むしろ物流はコストだという意識の方が大きいと思われま...


物流の周辺を見渡そう 大きな視点で物流を見よう(その2)

        物流管理は、サプライチェーンマネジメントがその領域なのです。私たちが取り組むべき範囲はサプライチェーン全体です。物流はある行為の結果...

        物流管理は、サプライチェーンマネジメントがその領域なのです。私たちが取り組むべき範囲はサプライチェーン全体です。物流はある行為の結果...