今回は商品企画七つ道具を活用した携帯電話の新サービス創造について解説します。今回の例は、商品企画七つ道具の、グループインタビュー、アンケート調査、コンジョイント分析を活用した内容です。1998年に行われた事例になります。商品企画七つ道具はQ創造を目的にし、魅力品質、感動商品のために顧客価値創造を具現化していく手法群です。
1. 1998年の状況
1998年はどんな年だったのでしょう。ヒット商品と言えば、次のようなものです。
・100円ショップダイソー
・半額ハンバーガー
・タイタニック
・VAIOノート505
・iMac
・桃の天然水
・麒麟淡麗
・FinePix7000
・東京電話
時事的には、次のようなことで、どちらかというと暗い話題が多かった年でした。
・郵便番号7桁になる
・長野冬季五輪開催
・和歌山毒物カレー事件
・長銀が破綻
2. 電話以外の使い方は何か?
ある携帯電話製造メーカーから依頼があり、その課題は携帯電話の音声サービス以外の可能性があり、そのサービスを発掘したいという要望でした。技術ではなく、顧客要望からサービスを検討したい。顧客要望の数字化と検証もしたい。とのことでした。
音声通話だけではなく、携帯性を活用した機能やサービス、顧客価値は何であるかについて対象顧客である大学生を中心に調査しました。
【当時の携帯電話の例】
・デジタルムーバP206
・仕様:高さ127mm×幅40mm×厚さ18mm
・重さ:179g
・通話時間:115分、
・待ち受け時間:220時間
・液晶画面:モノクロ、3行表示
3. 携帯電話の不満をグループインタビューにより発掘
学生中心にグループインタビューを実施しました。
【不満の抜粋】
・バックの中でどこにあるかわからなくなる
・文字入力が面倒
・着メロがあるなら音楽が聴きたい
・現在の居場所がわかるとよい
・学生証の代わりになるとよい
・電話が繋がらないときの状況が知りたい…
・通話料金が高いので安くしたい
例えば、CMを聴いて通話料金を安くしたい
当時、通話料金が非常に高かったことが不満項目に上げられます。不満要望から仮説案を設定しました。
4. 携帯電話の新サービス仮説案の評価
大学生に新サービスの評価を行うために説明と、イラストを入れて人気投票を行いました。
図1. 携帯電話サービス案1(クリックで拡大・再クリックで記事に戻る)
図2. 携帯電話サービス案2(クリックで拡大・再クリックで記事に戻る)
当時の状況が垣間見るサービスになっています。評価した案は34案になります。人気投票から得られた有望仮説案は、
・CM掲示
・ポイントサービス
・音声入力
・時刻表検索
・電波エリア通知
・留守番電話サービス
・適切料金
5. 携帯電話の最適新サービス案の決定
有望仮説案から、具体的新サービスの組み合わせを、コンジョイント分析を活用して、作成し、大学生128名にアンケート調査しました。
【 コンジョイント分析の結果】
図3. 携帯電話最適サービス案(クリックで拡大・再クリックで記事に戻る)
6. サービス案の実現度
2015年ある携帯電話製造メーカーから商品企画のセミナーを行った時、携帯電話の事例はないかということで紹介した内容を加筆しました。その際、1998年に企画したサービスが現在スマートフォンで、実現してい...