工場経営のものづくりの皆様と話す機会が多いのですが、私を含めて、共通の課題と
実感していることで、質問します。
社員のモチベーションをいかに維持していくか、それが、共通する課題です。
数々の改善活動をやってきたが、マンネリ化防止、モチベーションの維持について
次の手はどうすれば良いのか、やる気を高めるキーワードは何か。
やらなければならない改善に取り組み、高い目標を設定することを、自発的に促すには
どうすれば良いのか、専門家のご意見、アドバイスをお願いします。
伊藤コンサルティングの伊藤と申します。
改善活動のモチベーションを維持させるためのポイントの一つとして、「目標設定が適切かどうか」ということがあります。
経営目標や、品質目標など上位の目標を従業員の役割に沿って細分化し落し込んでいきます。
目標を達成した達成感や、仮に目標を達成できていなくとも目標により近づいていることがわかり、達成感を与えるということはモチベーションを維持、向上させる大きな要因となります。
もちろん、そのためには上位目標である経営者の目標設定が重要であるのはもちろんのこと、従業員の目標設定で直接コミュニケーションを取る管理監督者の存在も鍵となります。
そして適切な「目標設定」のためには、その目標に対してどの程度達成しているかどうかを明確にできる(見える化できる)「モノサシ(指標)」の設定が重要となります。
人間、ゴールが近づいていることがわかると俄然ヤル気が出てきますが、ゴールが見えず、今自分がどの地点かにいるかもわからない状態ではそうなりません。
改善についても同様のことが言えます。
また、従業員に対する管理監督者や、経営者のフォローも必要です。
従業員からの改善提案等について、経営者や管理監督者からアクションやフォローが全く無い状態だと、従業員自身が「どうせやってもムダ」と考えるようになり、モチベーションが著しく低下する要因となります。
結果のみにフォーカスするだけでなく、途中のプロセスにおいても、特に管理監督者が定期的にフォローすることが必要です。
このように改善活動のモチベーションの維持、向上には経営者や管理監督者といった各層の適切な関与が重要であり、そのための意識付けも必要となります。
ご参考になれば幸甚です。
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今岡善次郎です。
モチベーション大元は、企業組織の役割からの思いです。
組織は社会の機関であり、誰のために、何か提供しているか、
基本的な問いに戻ることです。
全員にベクトルを合わせることが重要です。
トップが命令と指揮で組織をリードするのではなく
創業の精神、社是は、そのままでいいか、時代に合わせて変えるか、
そのままならば、それが果たして機能しているかについても衆知を集めて
話し合うことです。
大事な点は思いは心や感情が先にあり、その後に戦略、
行動につながること。
戦略が先にあると共有するのが難しい。
ベクトルが揃う実践も強い感情から来ます。
思いは、苦難からの解放や危機感や、社会的責任感、
または、大きな満足を得る野心など平均的ではなく
卓越するものであるべきです。
以上、参考になれば幸いです。
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数々の改善活動をやってきたが、マンネリ化防止、モチベーションの維持について
次の手はどうすれば良いのか、やる気を高めるキーワードは何か。
やらなければならない改善に取り組み、高い目標を設定することを、自発的に促すには
どうすれば良いのか、 以上に回答します。
経営方針として数年先にどのような会社になることを目指すのか、それを実現するために、年次事業計画を立てることを第一に実施することが大切である。
経営方針で目指す方向が示されていないで、売上高を上げることだけの計画になると、事業計画の一貫性に欠け、努力するが技術蓄積が図られず、従業員からは思い付きで事業が計画されていると解釈されて意欲が向上しません。
事業計画の一部を職場で担当し、それを細分化して小集団単位で改善活動に取り組むように導く。単独での改善は避け、最少二人単位(先輩、後輩)で更に細分化した課題の改善に取り組むように導き、チームワークの素地を固める。チームワークの素地が育っていないと、職場内の摩擦で意欲が減退する。
そして、細分化した改善活動を総合調整して課題達成の調整を管理者がする。 改善に当り、必要な知識を習得することを優先する。
改善に取り組むに当り、目的、目標値、期限を明らかにした計画を立てる。評価・助言は取り組む過程でも実施し、放任にしない。最終の成果報告だけで済ますような指導をすると、形式的に良い内容になる様な作文になり易いから注意が必要である。 このようにして、全員が主役意識で課題達成に取り組むような仕組みを創り上げる。管理者はこれらの経緯が円滑に進展する様に配慮し、改善に取り組む小グループ間の調整、組織間の連携にも務める。
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人財開発戦略、教育プログラム構築、キャリアカウンセリング、人財開発コンサルティングなどに携わってきた経験から、簡潔に、留意点をアドバイスします。施策及び仕組み、モチベーション理論の視点で整理すると、次のようになります。この中から、御社に合った、モチベーションの維持、やる気を高めるキーワード、改善に取り組み、高い目標への自発的な促し方を探していただけたら幸いです。
<施策及び仕組みの視点>
(1)会社の経営理念や価値観を、経営者、部門、部員レベルまでブレークダウンさせた方針展開表を作成する。
経営理念、会社の目標、部員の目標の整合性を図ることが、全社一丸経営を目指すための重要な方策となります。具体的には、経営理念と関連付けられた重点施策、各々の管理特性、定量化した目標値、納期等をマトリクス表で視える化します。この表を整理するだけでも、何が問題なのかが顕在化できます。
(2)会社及び社員の両者が、環境変化に柔軟に対応する仕組みを構築する。
環境変化が激しい現代、想定外の出来事で計画を変更せざるを得ないことが発生しているのではないでしょうか。それに対して、想定外の出来事を否定的に捉えず望ましいものであるとし、社員のキャリア形成のチャンスと捉えることです。そのためには、社員の①好奇心、②挑戦心、③学習心等を支援することを仕組みとして考えることです。例えば、厳しいときこそ、組織形態、研修制度等により、新事業や新技術の学習や挑戦の機会をつくる仕掛けを考えることです。
(3)社風を自由闊達に変革し、従業員の知恵をどんどん出させる。
比較的簡単に実施でき、自律思考のクセをつける方法を一つ紹介します。重要テーマの場合は、本質的な目的を問い直す目的展開を組み込んだ「ワイガヤ」を根付かせることです。ブレーンストーミングの中で、「○○は何のためにあるのか」、「我が社は、社会にどんな貢献ができるか」というような目的展開を意識的に行うクセを付けていきます。なお、日常業務の場合は、提案制度等を推奨していけばよいと思います。
<モチベーション理論の視点>
社員の自律性を高めるためには、モチベーションを上げる必要があります。ここで、それらを裏付ける理論について補足しておきます。一般的に、モチベーションは、職場環境の良さ、休みの多さ、処遇の高さなどだけでは、時的にしか改善できません。いままでの人財戦略、研修実施結果、人財及び技術コンサルティング経験等から、モチベーションを上げるには、次の4つが効果的と考えれれます。この中から、一つでも二つでも御社に合ったものがあれば採用していただければ幸いです。
(1)テーマの面白さやチャレンジ
この裏付けとして、ブルームの期待値理論があります。ブルームはモチベーションを引き起こす誘因として、テーマの魅力度、テーマ達成の可能性を挙げています。
(2)テーマを実行する目的・意義および組織的貢献感
この裏付けとして、ブルームの期待値理論、アトキンソンの期待×価値モデル、フランクルの意味への意思があります。アトキンソンの期待・価値モデルは、難しい課題ならば、達成されたときには、大きな喜びとなる。目標が容易に達成されるものは、成功への主観的確率は高いが、目標の魅力度は低くなる。つまり、「出来るかもしれないし、出来ないかもしれない」ときに、課題への動機付けが最も高まるとしています。フランクルの意味への意思は、人間とは意味を求める存在である。意味を見出す方法は3つあり、何かを創造したり、何かを体験したり、自らの運命に対して取る心構えと態度であるとしています。
(3)チーム等のコミュニケーション
この裏付けとして、エドワード・デシの関係性への欲求、マズローの所属欲求があります。エドワード・デシの心理的欲求の意味は、人が生得的に持っている心理的欲求として、自律性への欲求、有能感への欲求、関係性への欲求の3つを上げています。有能感とは、コンピテンシー(思考・行動特性)のことであり、関係性とは、コミュニケーションのことです。
(4)メンバー・お客様などから認められること
この裏付けとして、マズローの承認欲求があります。
回答者:ぷろえんじにあ代表 粕谷茂
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モノづくり工場経営を研究している 「モノづくり改善コンサルタント」 です。
私のコンサルティング経験則からの見解です。
結局、
従業員のやりたいことが出来ているか?
やれる環境にあるか?
その可能性に期待出来るか?
こんなことがモチベーションに問われるのではないでしょうか。
仕事が好きな人もいれば、そうではない人もいるでしょう。
目標を設定できる人も、そうではない人もいるでしょう。
会社が準備する色々な戦略や戦術、あるいは、手段や方法にも響かない人(従業員)は沢山います。
それでも、人として、社会人として、就業人として、”やりたいことが無い” 人はいないハズ?です。
モチベーション維持という目標に対しては、
①個々人のモチベーション維持のポイントを探し出し、
②そのポイントに適当な対策を施すことでしょう。
『人を見て、法を説け!』、根気のいる取り組みが期待されます。
魔法はありません。愚直に、頑張りましょう!
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本間と申します
皆さんの意見に補足させていただきます。大企業と異なり中小企業の場合は比較的転職が自由にできる環境にありますので、改善活動が各人個々の生活にどう影響するのかをわかりやすく説明する必要があります。いくら改善しても経営者だけがいい思いをするような状況では、活動は長続きしません。
昔と違って仕事に面白さを見出す従業員も減ってきていますので、かつてのQC活動のような目標設定型のアプローチだけではなかなか自発的に動いてもらえることはありえなくなりました。
自分の成功体験を持っている方は、自分の熱い姿を思い浮かべることが多いようですが、最近の若者はドライです。外国人ほどではないにしても報酬とか待遇改善に敏感ですので、改善活動目標が会社全体だけでなく個人報酬にもどうかかわっていくかを明確に示す必要のある時代になってきています。
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クリーン化が専門の清水です。
クリーン化活動も継続させることが難しいですが、長い間現場を歩いて来た経験などから、思い当たることを拾ってみます。
改善活動は何のためにやるかですね。
例えば、品質の向上、生産性の向上(工程改善、工数削減、リードタイムの短縮など)、費用の削減、安全対策(事故・災害の未然防止)、顧客満足度の向上など様々あると思います。これらは、結果的には会社の経営に直結します。
従って、改善活動は、従業員の会社経営への参画の場とも言えます。
従業員には、会社経営に参画しているという意識を持ってもらうようにしたいですね。
そこで、経営者対従業員という関係、構図を少し変形させ、従業員の自主的な活動にして、担当者を決め、1年くらいは同じメンバーが、改善月間とか、年間計画を立て、活動をコントロールしてもらう。その活動は当然職制とも連携して進めることになりますが、そうすることで、経営側、従業員側の苦労の相互理解も深まります。そのメンバーには参画意識が出てくると思います。
改善は、案だけでなく実施することで、何らかの成果、結果が出てくると思います。
つまり業績に反映されますので、その状況により表彰するなどしてみてもよいかもしれません。
高い目標は、メンバーにやらせっ放しではなく、経営者、管理職が必ず支援、バックアップする。
達成できたら、そのメンバーの功績として評価してやりたい。
改善活動の結果は、フィードバックしていると思いますが、重要なことです。
褒められると、“また褒められたいという心情”になりますから、継続されると思います。
社員が、言われて渋々やるのと、自主的、積極的にやるのとでは、改善への取り組み、その質や成果が変わってきます。本物のよい活動になると思います。
それを継続、スパイラルアップしていく。
翌年はまた別なメンバーに担当してもらうことで、時間がかかるかもしれませんが、良い人財が少しずつ育つと思います。
フィードバックがない、つまり投げたボールがかえって来ないと、投げなくなります。
また、弛んで来たら、何かイベントをやるのもよいと思います。
このイベントで、弛んだものを引き戻すということはよくやられる手です。
今回の内容は、多くの企業での悩みであり、またその対応策をいろいろ考えて効果を上げているところもあります。
イベントもいろいろ考えられると思います。
改善活動は、従業員が経営へ参加できる一つの手段です。
また、改善の中で、安全に関することは、社員の方がよく分かっていると思いますので、それを拾い、対策することで未然防止、早期発見につながります。これも、なぜそうしたのか、全員に周知することで、提案者も喜ぶと思います。
これらの活動を通じ、社員と良く話し合い、コミュニケーションを取る。その繰り返しで、人財育成につなげていくことも大切です。
そうすると、次から次へとやるべきことが出てくると思います。それを手当たり次第ではなく、よく整理して手順を考えて手を打っていきたいです。
余計なことですが、私は、人材ではなく、人財という字を使っています。
この理由は、人は材料という意識のうちは育たない。財産は、上手く育てれば成長、増幅します。その意識で社員と向かい合えば、自ずと協力的になったり、個人個人の持っている能力を存分に発揮してくれると思います。
この泥臭い活動を、経営者も意識して長く続けることが大切だと思います。
喉元過ぎればではなく、常に攻めの手を考えましょう。
以上の中にキーワードはいくつかありますね。
現場を想像しながら思いつくことを記しました。
少しはお役に立てますでしょうか。
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心理学をベースに人の感情に焦点を当て「内発的エネルギーに溢れ、主体的に行動する社員と個人をつくる」ために活動している末吉です。
キーワードは、「エンジンを始動させること」です。
人を車に例えて考えてみましょう。
会社のミッション、ビジョン、バリュー、目的、目標、戦略・・・これらは、すべて車の外にあるものです。いくら、目的地が明確でいいナビがあっても、エンジンを掛けなければ車は動き出しません。また、エンジンには燃料が必要ですし、エンジンの回転力をコントロールするアクセルも必要です。さらに、いざというときは停まれなければ怖くてアクセルを踏めないのでブレーキも欠かせません。目標の方向に進むためにはハンドルも必要です。これらは、車そのものを動かすシステムです。
では、人の戻すとどうなるのでしょう。
よしやるぞ!という意欲を持たせたい。そのための燃料は、その人の価値観(大切にしていること)、強み(得意なこと)、関心・興味です。これらを探求し、しっかりとその人がやりたい方法や仕事の意味を掴むことが大切です。そして、これらの燃料によって動かすエンジンは、有能感(自分は目標に到達できる)、自己決定(自分で道を選べる)、関係性(みんなが協力してくれる)です。
そして、ポジティブな感情がアクセルになります。逆にネガティブな感情がブレーキの役目を果たします。
ポジティブな感情を増やすには、まず今を肯定することが大切です。
ニンジンをぶら下げただけでは、人は自分からは決して動かないのです。
>やらなければならない改善に取り組み、高い目標を設定することを、自発的に促す
やらなければならない→今はやれていないから駄目だ…これは、今を否定しています。
製品トラブルなど、今すぐに直さなければならないことについては改善が必要ですが、将来、もっとよくしたいことについて、今を否定してもうまくいきません。今、うまくいっていること(今の価値)を捉え、未来に向かって拡げていくというアプローチが良い結果を生みます。
過去の経験でも、「うちはいい組織じゃないか、これからできることを考えよう」、と持ちかけるだけで、雰囲気は一転します。主体的な意見が出始めます。
さらに、高い目標→挑戦できる目標でなければなりません。高すぎる目標は、有能感をそぎ、不安を募り前に踏み出せなくするだけです。高すぎる目標を掲げて、閉塞感からアップアップしている組織を良く見かけます。
目標のレベルが適切かについて、こまめにコミュニケーションをはかり、その結果解った不足している情報や資源を提供したり、目標のバーを調整するなど、適切な目標を設定することはマネジメントの大きな役割です。
以上、概念的な話になりましたが、もちろん具体的に進める方法があります。
車の外の話だけではなく、本格的に人の心のエンジンを始動させることについて、検討していく必要があるのではないでしょうか。
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