主眼は若手の給与面での満足度を上げる給与体系を作ることです。
下記通り、検証・検討内容は立案し準備を進めていますが、これだけで良いのか?との不安も有り、また、基本給、各種手当の配分、昇給の考え方など等、悩みは尽きません。
ついては、専門家・経験者等のアドバイスをいただければと思い投稿させていただきました。
1) 検討、検証対象について
1. 対象者 =正社員
2. 検討項目 =基本給・各種手当(住宅、家族、資格、営業、皆勤)・賞与
2) 検討用データの作成・検証内容について
1. 総額人件費
①増額は考慮していますが、基本は現状総額の再分配と考えています。
②退職者等の給与はそのまま総額にスライドさせる予定です。
2. 個別賃金の水準データ(製造業の賃金水準平均との比較表)
3. 年齢別の人員構成データ
4. モデル給与の設定及び、各種ケースの検証の繰り返し。
以上、よろしくお願いいたします。
人事戦略、社員の能力評価システムの構築、専門職制度の構築などに係わってきた経験から気づいた点を述べます。結論から言えば、社員の給与体系の改訂は、一般の原理原則だけでは判断できにくいと考えます。単純に、社会の流れに合わせて、成果主義に切り替えればよいというものではありません。それぞれの企業の経営理念、歴史、風土、シェアードバリュー(大切にする価値観)などを考慮し、それぞれの特質にマッチしたものとしなければいけないからです。著名なコンサルタントファームのアドバイスを採用して、MBA的な改革を導入して、逆に社員のモチベーションが低下してしまった例も多いようです。ここでは、2つの視点で留意点を簡潔にまとめてみました。
1.モデル賃金をどう体系的にまとめっればよいか
モデル賃金を体系的にまとめた論文として、下記のものが参考になると思います。一般的な理論的支柱のチェックリストとして読み込めばよいでしょう。
※モデル賃金レポート:中小企業のモデル賃金~中途採用者の賃金決定~(浜銀総合研究所編纂:厚生労働省委託「中小企業モデル賃金制度の研究開発等事業」)
2.抜け漏れ防止のための留意点
(1)経営理念やシェアードバリュー(大切にする価値観)とリンクしているか
経営理念やシェアードバリューに基づき、求める人材像を整理しておくことがポイントとなります。そのことにフォーカスした業務計画をどう達成したかを基準にできれば、納得性の高い社員の評価規準が出来上がります。
(2)家族手当、住宅手当、実績評価と査定等の不満要因を把握しているか
社員の不満要因は、時代とともに変化しています。例えば、従来は、家族を大切にしている企業は家族手当や住宅手当等を奮発していたのではないでしょうか。しかし、昨今では、結婚しない(結婚できない)若者が増大し、家族手当自身が、不公平要因となっています。また、金額の絶対額はわずかですが、実績評価や査定の段階で、上司の評価によっては、不平不満が生じやすくなっています。それらを踏まえた、手当の見直し、客観的な評価規準の見直しを行う必要があります。
(3)人材への投資(資格手当、研修費用増額等)により自律を促進できないか
一般的には、業務に対する対価という考え方が報酬です。その報酬の一部の配分を、社員の動機づけとキャリアアップを支援するために、活用すると効果的です。例えば、その一つ目が資格取得手当です。業務に直接あるいは間接的に有益と思える資格を取得ときに祝い金を捻出するのです。二つ目は、社内研修、社外研修に費用を増額するのです。研修費用の平均値が、約35000円/年・人ですから、この金額以上を捻出します。これらの施策は、上手く運用すれば、社員の自律性支援に直結すると考えます。
<補足事項>
ただ、一方的な変更はしないことです。採用時に会社と社員の間で、雇用契約書や労働条件通知書で、労働内容とその対価である賃金の額を契約して、雇用関係が発生していると思います。社員への説明やヒアリングは十分に行う必要があります。社員にとって魅力的となる賃金制度であっても、社員に検討の意図や経緯をきちんと説明しなければ、不安と不満を募らせます。その結果、社員のモチベーションを低下させる可能性があります。そして、他社事例に頼りすぎないことも重要です。賃金制度の改訂をするときには、他社の事例は貴重な参考情報です。しかし、他社と自社では、会社の特長や経営環境が異なりますし、他社のマネをしても、他社以上になることはできません。自社特有の賃金制度をゼロから考えることが成功のポイントとなります。
回答者:ぷろえんじにあ代表:粕谷茂
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