〔これは事務局が考えた仮想の質問です〕
竹内技術士事務所の竹内と申します。
射出成型機のスペックが異なること自体が問題なのではなく、異なる程度が問題かと思います。現状のスペックと比べて、何がどのくらい異なるのかを定量的に確認してください。
成形材料の流動性は、射出成形の際の成形条件を決定したり、金型設計において成形品の肉厚やゲートの位置を決めたりする上で非常に重要です。この流動性は金型による流動長で表されますが、流動長は以下の条件で変化するため、現状の各条件を確認する必要があります。
①樹脂温度、②金型温度、③射出圧力、④ キャビティ厚み、⑤ 材料の種類(粘度)
また、成形収縮率は多くの条件の相互作用で決まりますが、その主な条件は上記の他にも以下のものがあるため、これらについても確認しておく必要があります。
①射出速度、②射出時間、③成形品の厚さ、④充填材、強化材の形状、含有量
また、後収縮率はその成形品が成形された成形条件、加熱される温度、および加熱時間によって大きく変化するため、これらにも注意する必要があります。
その他にも、円板状の成形品の場合であれば、直径方向と円周方向の収縮率差から変形が発生することがあるので、場合によっては円周方向にリブを入れるなどの対策も考える必要があります。
これらをすべて確認した上で、CAEを活用したシミュレーションで、今回借りる射出成型機のスペックに見合うように、現状のスペックから各条件を変化させて新しい条件を探します。
評価試験で合格しなかった場合にも、どのような不良なのかによって対策が異なるため、再びCAEを活用したシミュレーションによって各条件を変化させて検討することになりますが、そうならないためにも、事前の条件設定を十分検討してください。その場合、過去の条件設定で苦労したときの情報などが役に立つことが多いので、過去のデータを参照するのも良いかと思います。
|