企業内の情報セキュリティについては、従業員教育もさることながら、情報取り扱い規定や情報システムの堅牢化、サイバー攻撃を受けたときの組織的な対応方法など、企業全体として方針(ポリシー)とルール・体制・情報システムを整える必要があります。その上で、そのポリシーに沿って、各従業員が守らなければならないルールを伝え、順守を求めることが重要です。
また、従業員のPCがインターネットと接続され、外部とメールの送受信が可能ならば、ネット検索だけを禁止してもサイバー攻撃を防ぐことはできません。近年、特に増加している標的型攻撃は、取引先を装ったメールにウイルスを仕込んだファイルを添付してターゲット先の企業に送り、受信者がそのファイルを開くと受信者のPCがウイルスに感染するというものです。ひとつのPCがそのウイルスに感染すると、外部から企業内ネットワークへのアクセスが可能になり、企業内の機密情報を奪うことが可能になります。情報処理推進機構が毎年発表している「情報セキュリティ10大脅威」の2016年版では、この「標的型攻撃による情報流出」が1位になりました。
このように、日々進化し、多様化しているサーバー攻撃に的確に対処し、情報セキュリティを確保するには、従業員個人に努力を求めるだけでなく、企業全体で組織的に取り組む必要があります。
私どもでもポリシーの策定や社内教育のご支援をさせていただいておりますので、ご要望があればご相談いただければと存じます。
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こんにちは。技術士(情報工学部門)の坂東です。
現在は、個人事業主(技術士事務所)をしておりますが、前職ではサラリーマンとして、情報セキュリティ対策を支援する業務の経験があります。
さて、他の専門家の方も言っていますが、情報セキュリティの脅威は「インターネット検索」だけではありません。
標的型攻撃(APT: Advanced Persistent Threat)と呼ばれる、偽メールで特定ターゲットを狙い撃ちする攻撃など、悪意の第三者による脅威が悪質化、巧妙化、深刻化してきています。
端的に言うと、脅威がやってくる入り口が増えてきています。そして、脅威へと開かれた出口も増えてきています。
しかし、インターネットは上記のような脅威もありますが、メリットも相応に大きいです。
「集合知 (Collective Knowledge)」という考え方がありますが、インターネットには世界各国の人間からの情報が集まり、情報同士が融合して化学反応を起こしています。異質の情報の出会いが新たな情報を生み出している状況です。
最近よく聞く「オープン・イノベーション」という話も、他社や他人のアイデアを広く集って、自社ビジネスに取り込むという発想です。
また、情報の最新性ではインターネットが一番でしょう。ドッグイヤーの社会において、新聞や書籍などの紙媒体では情報が遅すぎる場合もあります。
セキュリティ上のリスクがあるからといって、「インターネット鎖国」をしてしまうと、インターネットの果実も享受できないという側面があります。それに、「インターネット鎖国」をしたからと言って、セキュリティ対策が万全とも言い切れないのが今のご時世です。
インターネットのメリットとデメリットを天秤にかけた上で、自社にとっての「落としどころ」を探っていくことが重要です。
上記の事情を鑑みて、情報セキュリティ対策を検討する場合、「樽モデル」を理解することが重要です。
「樽モデル」とは、情報セキュリティを樽に見立てた場合、「樽の板が一番欠けている箇所から水が漏れていく」ことを指します。
つまり、「他の箇所のセキュリティがどれほど高かろうと、セキュリティが一番脆弱な箇所がボトルネックとなる」ことを意味します。
セキュリティ対策というと、技術論が先行しがちですが、他にも下記のようなことを検討する必要があります。
(あくまでも一例です。下記で全て網羅している訳ではありません。)
【ルール、マインド】
● 社員教育 (セキュリティ意識の向上、セキュリティ事件の事例研究)
● 社内ルールの策定 (情報セキュリティポリシーや緊急時対応計画)
● 社内体制の構築 (情報セキュリティ責任者の任命、指揮命令系統の確立)
● アクセス権限の策定 (必要最低限の権限を必要最低限の人員にのみ与える)
【分析】
● セキュリティリスク分析 (最初に穴を塞ぐべき箇所を特定する)
● 業務フローの現状分析 (セキュリティ対策が、現状の業務に影響するのを最小化する)
● 自社データの価値の分析 (機密性や重要性の高いデータを特定する)
● コスト・パフォーマンス分析 (限られた予算と人員の下で、最大限の対策を行う)
【実運用】
● PDCAサイクル (脅威も進化するので改善の継続が必須。運用の実現可能性を担保する)
当方も技術系セミナーの講師の実績があります。社内セミナーや社内研修に関しては応相談です。よろしくお願い致します。
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