当社は、メンテナンスとサービスで収益を上げているビジネスモデルですが、今後、IoTにより収益構造が変貌するのではないかと考えております。
当社のような、メンテナンスとサービスで収益を上げているビジネスモデルでは、IoT化で大量のデータをリアルタイムに収集・分析することにより、メンテナンスとサービス全体を効率化することができ、顧客要求の変化に即応した体制が、可能となると予測しています。
IoTが進んだ時に、ビジネスモデルのどこに付加価値を付けて競合他社と差別化したら良いのか、IoTでどうやって稼ぐのか。その分野の専門家の方々のご意見をお願いします。
ICT企業において少子高齢化時代のものづくり革新に関し活動させて頂いてる観点からコメントさせて頂きます。
(1)少子高齢化とメンテナンス
15歳から65歳までの労働人口を生産労働人口といいますが、この労働生産人口は2010年には8000千万人程度だったのが50年後には4000万程度に50年で半減します。つまり10年単位で700〜1000万人の働く人口が今後減少していくとこになります。
一方、ビルや道路・橋などのいわゆる社会インフラは老朽化が進むものの、それらを刷新するには膨大な予算が必要となり現実不可能なため、如何に長く安定的に維持・運用するかが今後特に重要となります。
つまり、少ない労働力で現状の生産性を維持・向上していくにはICTを活用し、誰でもできる仕事はICTやIoTに任せ、人間はより付加価値の高い業務に集中するような作業環境や役割分担が必要となってまいります。つまり、今後長く事業を継続していくには、メンテナンス業に限らず、ICTやIoTの活用は不可欠と考えております。
(2)ICTを活用したメンテナンスの高度化(差別化ポイント①)
少子高齢化時代のメンテナンスは、少ない労働力で効率的にメンテナンスタイミングや修理・交換箇所を見極めることが重要となります。例えば、昇降機にセンサーやカメラなどを取り付け、機器の疲労度を遠隔で監視し、遠く離れた場所でメンテナンスの必要性を分析・判断するのです。
ここでの差別化ポイントは、御社が他社にない熟練ノウハウを如何に見える化し、活用するかにかかってきます。御社の熟練者が身につけたノウハウをIoTで収集したデータの分析に活用できれば、それが御社の強みになります。
尚、熟練ノウハウの見える化については、ものづくり.COMの技法解説「技術・技能伝承」に記載していますので、参考にして頂ければ幸いです。
(3)ICTを活用した新たな収益源の確保(差別化ポイント②)
貴社が昇降機を製造されている会社であれば、センサやカメラなどのIoT機器を盛り込んだ昇降機を製造・販売することも重要となります。IoTから収集した稼働情報から、メンテナンスタイミングや補修部品などを故障する前に顧客に対して提案するのです。貴社にとっては機会損失の防止につながり、顧客側は稼働率の向上になり、双方にメリットがあるため販売時のアピールポイントになります。また、このような遠隔での予防保全通知を予防保全サービスとして販売してもいいのかもしれません。
(4)新たな事業領域への進出(差別化ポイント③)
冒頭に述べたようにメンテナンス業以外でも今後メンテナンスは重要となります。上記の(2)や(3)で述べた内容が実現できれば、他の業界にも進出が可能かと思います。特に、公共施設を維持・運用している自治体などにはアピール度が大きいと思いますので、新たなビジネス展開も不可能ではなくなります。
以上、貴社の状況がわからない状況で記載しましたので、不十分な点もあろうかと思いますが、ご参考になれば幸いです。
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