工場ですぐ使える品質改善技法の開発と普及活動を行っている高崎ものづくり技術研究所の濱田と申します。
市場でのトラブルを回避するための予防策を講じる場合、工程FMEAでは、その影響度と発生頻度、工程での検出度を定量的に評価し、対策の内容を決定します。
一方、リスク=発生頻度×影響度とする概念を用いるのがリスクアセスメントです。リスクアセスメントの目的は、最適信頼度を求め対策することです。つまり、リスクの大きさに応じて対策の内容を決定します。発生頻度が極めて低くても、社会的損失が大きい場合はリスク第とみなします。(例:原発事故、航空機の墜落事故など)
最適信頼度は、信頼性コストと損失コストのバランスした点と定義され、製品コストや、工程の対策費用が過剰になるのを防止することができます。リスクの程度はA,B,Cランクに分類します。
Aランク・・・市場に出ている場合はリコールの対象、開発段階にある場合はリスクを軽減させる対策を行い、対策 が困難な場合は商品化を断念します。
Bランク・・・効用と危険の度合い、コストを含めリスクを最小となるよう対策します。例えば注意シールを貼る
作業手順書にに記載する、ポカヨケを設けるなどです。
Cランク・・・無視できるリスク領域。
以上のように、FMEAとリスクアセスメントを組み合わせることによって、最適信頼度を求める事ができるとした理論と実施手順を当研究所では推奨しています。
予算面、技術面で負担が軽い流出予防策については、トヨタ生産方式の簡便自働化(LCIA:Low Cost Intelligent Automation)の考え方が大いに参考になります。費用を掛けずに、作業者にとって簡単、シンプル、便利な機構で、自社のノウハウ・工夫を取り入れた設備をラインに組み込むことを目標とします。狙いとして
・異常を即検知しアラーム、又は止まること
・早く具体化し実現できる事
・安価でシンプルな構造であること
・専門知識がなくても具体化できる事
・自社独自開発を基本とし、社内で変更、メンテナンスができること
いづれにしても、製品の使われ方や顧客要求の程度、また市場データの収集によるクレームの分析に基づき、顧客視点での対策が求められていると考えます。
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